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バーミヤンに最古の油絵 7〜10世紀、高度な技法

2008年03月05日10時42分

 アフガニスタンの世界遺産バーミヤン遺跡にある壁画には、極彩色の仏が描かれ、インドやペルシャなどからの影響をにじませている。だが文献史料がほとんど残っておらず、その材質や技法についての詳しい分析は、これまでほとんどされてこなかった。だが、東京文化財研究所が壁画を化学分析したところ、7〜10世紀の油絵であることなどがわかった。

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 同遺跡では、イスラム原理主義勢力タリバーンの手により、大仏とともに壁画の8割ほどが破壊された。同研究所は03年から調査や保存の活動を現地で始め、壁画については谷口陽子特別研究員(保存科学)が約50の石窟(せっくつ)から取った試料53点を調べた。

 これまでの研究で顔料などは部分的にわかっていたが、谷口さんは、壁画を下からキャンバス、目止め層、下地層、彩色層、上塗り層に分け、層ごとの成分に着目した。

 彩色層を赤外分光法などで分析したところ、顔料を溶かし固定する膠着材(こうちゃくざい)として19点に油が使われていることが判明した。壁画は7〜10世紀のものであることが放射性炭素年代測定で判明しており、油絵の技法が用いられた例として確認された中では「世界で最も古い」(同研究所)という。

 さらにガスクロマトグラフィー質量分析で、クルミやケシから採れる油に近いことも突き止めた。いずれも遺跡のある中央アジアで広く食用とされ、古い文献に登場する植物が原料だ。

 この時代のヨーロッパの絵画といえば、色のついたガラスや大理石などを使うモザイク画。油絵の起源はよくわかっておらず、15世紀になってヤン・ファン・エイクがクルミ油などで顔料を練り合わせて使い、本格的に始まったとされる。バーミヤンの絵画技法の水準の高さがうかがわれる。

 また、牛海綿状脳症(BSE)の検査などに使われるエライザ法で目止め層を分析すると、牛などの動物の膠(にかわ)の可能性が高いとわかった。写真撮影で使うレフ板のように、白の顔料を緑とオレンジの間に挟むことで、全体の色調に鮮やかさと深みをもたらす技法も採られていた。

 谷口さんは、中国・敦煌の石窟群や中央アジアの壁画についても分析する予定で、「バーミヤンの壁画が文化的にどうミックスされて成立したのかを解明したい」と話している。米国やフランスの施設を駆使した、今回の複合的な分析法は、謎の多いバーミヤンの壁画のみならず、絵画史全体の研究の幅も広げそうだ。

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