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日常から「きれい」伝えたい 日比野克彦、充実の50歳へ

2008年03月05日15時29分

 日比野克彦といえば、ポップ感と工作気分を備えた段ボールアートで祝祭の80年代を象徴したアーティスト。近年は、地方の美術館などから市民や地域を巻き込んだワークショップの名手として引っ張りだこだ。今も金沢と熊本で個展が、東京では会場デザインを手がけた展覧会が開かれている。今年8月、ヒビノは50歳を迎える。

写真企業ロゴのついた段ボール箱の壁を前に語る日比野克彦さん=2121デザインサイトで
写真「種の船」の展示=金沢で

 金沢21世紀美術館の個展(20日まで)では朝顔で未来的な建物を包み、熊本市現代美術館では熊本城にちなんで段ボールの石垣作りを目指す(4月6日まで)。

 自身に期待されているのは「最初の呼びかけ」だという。「身近なところに、ちょっと違う価値を与えて楽しく見せ、足を運んでもらう」

 カジュアルな語り口と、「やればできる」と思わせる実演力。でも「こうでなきゃ、という目標は作らない。日比野のやり方でないとダメ、とすると、参加者たちの推進力がなくなりますから」

 新潟の山間部で地域の人と共同制作する中で見つけた「朝顔」は、新潟で咲き誇り、種となって、水戸市や福岡市、鹿児島県、そして金沢市で花を咲かせた。

 指定管理者制度が導入される時代、地域や市民との関係作りを目指す公立美術館は多い。そんなとき、日比野さんに期待が集まる。

 一方、東京・赤坂の「2121デザインサイト」で開催中の「200∞年目玉商品」展では、会場構成を手がけた(3月16日まで)。25社の企業とアーティストが「目」をテーマにした表現を見せる企画。ここでも各企業のロゴの入った段ボール箱で壁を作り、意図を伝えている。

 07年はワークショップを伴う大型個展だけでも3カ所で開いた。しかしこうした状況は、03年ごろから。

 バブル期に寵児(ちょうじ)となった日比野さんは、90年代には悩みに悩み、段ボールを使わない時期も。95年にはベネチアビエンナーレの日本館の出品作家の一人に選ばれたが、もやもやした気分は残っていた。

 しかし50歳を目前に「今は、疾走していた20代も悩んでいた時代も含めて『やりまっせ』という感じはありますね」と語る。

 熊本で展示する80年代の段ボール作品は昭和晩期の気分をまとう傑作だし、金沢で見せる朝顔の種の形をした段ボール船は、これまでにない、すがすがしい詩情をたたえる新作だ。地域と時間を超える朝顔の力を体感したからだろう。

 「僕が使う段ボールは、箱となって荷物を届ける。自分の役割も、日常の中で美術の持つ『きれいだね』といった感覚を伝えていくことなんだろうな、と」

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