現在位置:asahi.com>文化・芸能>文化>文化一般> 記事 アワビの意外な側面に光 千葉・館山で企画展2008年03月08日14時57分 アワビといえば高級食材という印象が強い。でも、かつて米国でブームになり、日本では美術工芸品としてめでてきた歴史は、あまり知られていない。千葉県館山市の県立安房博物館で開催中の企画展「アワビ―食と美」が、その意外な側面に光を当てる。
入り口に、2個のアワビが寄り添っている。右の安房地方のアワビより、ひと回り大きく殻の赤みが濃いのが反対側のアカネアワビ。米国ではかつて先住民族が食べたが、移民は身の硬さを敬遠した。再び食卓に上ったのが約100年前。いきさつが面白い。 アワビ漁の盛んな安房地方で、明治期に乱獲が問題視され、採集は制限された。漁師たちは新天地を求めて米国西海岸へ。その一人、小谷源之助は加工工場も造ったが、いま一つ人気が出なかった。 助け舟を出す形となったのが、ドイツ移民のポップ・アーネスト。1910年代、アワビの身をたたき、軟らかくして揚げ焼きにしたステーキなどを、経営する海鮮料理店で供して評判に。アワビ料理は一気に広まり、アーネストは「アワビ王」の異名をとった。 日本では古くから食用だったが、殻をかたどった縄文土器が出土するなど、美術工芸品の面も見逃せない。殻の内側の虹色の輝きを生かした螺鈿(らでん)の兜(かぶと)や鞘(さや)、表面を研いだ磨きアワビの状差しなどが、約100点の展示品の中でも光る。 「アワビ一つで、日米の交流や、祖先の文化がわかります」と同館の高梨友子研究員。23日まで。300円。 PR情報 |