現在位置:asahi.com>文化・芸能>文化>文化一般> 記事

「液晶絵画」のたくらみ モニター、画布代わりに展覧会

2008年03月12日14時31分

 薄くて大きな液晶画面の登場は、絵画と映像との垣根を崩すのか。最新の液晶モニターを使い、鑑賞者にそんな問いかけをする展覧会「液晶絵画 Still/Motion」展が、津市の三重県立美術館で開かれている。同県内に亀山工場を持つシャープの協力で実現した。

 展示に使った液晶モニターは、市販では最大となる65型が27台のほか計36台。世界的なブランドになっているシャープ亀山工場製が大半を占める。65型は143×80センチほど。絵画なら80号近い。解像度1920×1080ドットのフルスペックハイビジョンだ。

 映像による美術作品は部屋を暗くしてビデオプロジェクターでスクリーンに投影する方法が主流だった。だが液晶なら、明るい部屋で絵画のように壁に掛けて展示することができる。

 森村泰昌の「フェルメール研究(振り向く絵画)」(08年)は、65型液晶モニターを額縁に入れて絵画に見立てる。フェルメール「真珠の耳飾りの少女」を題材に、少女に扮した森村が名画と同じように振り向く様子をモニターで流す。森村は「絵画では想像するしかない絵の前後を表現してみた。瞬間冷凍された一瞬に、お湯をかけて溶かしたらどうなるかと」。

 英国のサム・テイラー・ウッドの「リトル・デス」(02年)は、17世紀の静物画のような構図で映された野ウサギの死体が、46型モニターの中で次第に腐っていく。

 やなぎみわは05年にスクリーンに映した「Fortunetelling」を今回は65型モニターで見せた。4人の少女が映る3画面は、少しずつ異なる。やなぎは「作品の見え方が変わり、だまし絵的で絵画に近づいた印象だ」。

 液晶モニターによって、絵画と映像の垣根は取り払われていくのだろうか。企画にかかわった国立国際美術館の建畠晢(あきら)館長は「展示条件が同じになったことで、映像の本質が際だつようになった」とみる。液晶モニターで映した作品には、早送りやコマ送り、巻き戻しなど時間軸を操作したものが目立つという。

 出品作家14人中、液晶モニターを使ったのは9人。うち新作はまだ3人しかいない。ただ、建畠さんはこんな予想をする。「チューブ絵の具の発明が印象派の誕生につながったように、液晶によって、従来の映像でも絵画でもない作品が生まれてくるはずだ」

 4月13日まで。国立国際美術館(大阪市)、東京都写真美術館に巡回。

PR情報

このページのトップに戻る