現在位置:asahi.com>文化・芸能>文化>文化一般> 記事 少部数でも安くてきれい オンデマンド印刷2008年03月15日10時41分 安価で少部数の本作りができる新しい出版印刷のシステムを、印刷関係業者のグループが開発した。注文に応じて刷るオンデマンド印刷の品質を高めて大幅にコストを引き下げることに成功、書店に並べても見劣りしない本が作れるようになった。出版不況にあえぐ中小出版社にとって強い味方になるかもしれない。 営業・システム開発のSBL(本社・埼玉県新座市)と印刷・製本のプラン(同県上里町)が共同開発した。5年ほど前から、少部数でも安くできる印刷方法を研究してきた。 オンデマンド印刷機の基本は高性能コピー機だ。プログラム通りに高速で両面印刷する。ページ順に重ねられた紙を製本、表紙をつけて本にする。日本では90年代末から広がり、大手取次や出版社が事業に参加して注目された。だが、インク代が高く、数百部以上ではオフセット印刷より割高になる。1000〜2000部くらいの本をオンデマンドで出版するのは、高額で難しいのが現状だった。 SBLの山田俊也社長らはインクジェットプリンターを使うことで設備投資金額を抑えたほか、安いインクを自社開発、手作業が多い製本工程を工夫するなどした。この結果、フルカラーで1000部作る場合、オフセット印刷の半額以下まで安くできたという。 このシステムで印刷した初めての本が2月末に出版された。橋爪大三郎監修『家庭でできる法事法要』。196ページで本体1200円。初版は1000部だ。出版元の径書房の原田純代表は「ほかでは3000円以下では出来なかった。100部単位で重版できるので、返品と大量在庫を抱えるリスクなしに本が作れる」と期待を寄せる。 読者にとっては、今よりも多様で安い、カラーのさし絵入りの児童書や写真集などが買えるようになるかもしれない。 出版ニュース社の清田義昭社長は「本の体裁など制約はまだ多いようだが、安く出版できることで、編集者が作れる本の幅が広がるのは歓迎すべきことだ」と話す。SBLではさらに改良を加え、年内に月産50万部、来年以降、月産100万部を目標に事業展開する計画だ。 PR情報 |