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年代変わる?古墳時代 精度高まる土器の測定

2008年6月7日14時42分

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 古墳時代の始まりが加速器質量分析法(AMS)を使った放射性炭素年代測定によって刷新される可能性が浮かび上がってきた。箸墓古墳(奈良県桜井市)の土器「布留(ふる)0式」について、国立歴史民俗博物館の研究チームが明らかにした「3世紀半ば」との年代は、魏志倭人伝が記す卑弥呼の死期と重なる。邪馬台国の所在地をめぐる論争にも一石を投じることになりそうだ。

 古墳時代は箸墓古墳の登場が始まりとされてきた。長さ278メートルもある巨大な前方後円墳で、それ以前の墳墓に比べて大きさが格段に違う。築造時期をめぐり研究と論争が続いてきた。手がかりは築造期に現れる布留0式土器だった。考古学者によってその年代は様々で、近年は「3世紀半ば以降〜後半」との年代観が力を増していた。それに対して歴博が示した年代観は、これまでに比べ20〜数十年は古い。248年ごろとされる卑弥呼の死期と合致する。

 AMSは時間とともに減る放射性炭素を測定するが、箸墓出現期の年代はこれまでAMSの測定対象にならなかった。放射性炭素の発生量は時代ごとの宇宙線の強弱で変動するため、木材の年輪のパターンなどをもとに、較正するための曲線がつくられてきた。しかし布留0より少し古い2世紀後半を国際曲線で較正すると数十〜百年ぐらい古い年代になってしまうのだ。

 放射性炭素の濃度は世界で一定とされてきたので、日本の研究者は頭を悩ませてきたが、日本と似た緯度のトルコでも同じ現象が確認され、南半球でも合致しないことが明らかになってきた。国際較正曲線は高緯度にある欧米の木材の年輪をもとに組み立てられているためと見て、歴博や名古屋大の研究者たちが日本独自の較正曲線作りに取り組み、めどがたってきた。

 今回歴博が示した結果はごく限られたものだったが、前後を含めると測定は20を超えている。「3世紀半ば」という大きな枠組みは動かないとの見通しが、この段階で公開した背景にあった。「箸墓の築造開始は235年ごろと見ていいのでは」といった感触も関係者の間では語られている。

 箸墓の年代や邪馬台国との関連を議論するには、さらに詳細な材料が求められる。箸墓は宮内庁が指定する陵墓で、調査のために手をつけることは認められないが、指定範囲の外に古墳の外縁部があり、そこで見つかった土器などから炭化物が採取されている。歴博はそれらを測定すると同時に較正曲線の精度を高める作業も進め、来年春までに一定の結論を得る方針。箸墓をめぐる議論は新たな段階を迎えることになりそうだ。(渡辺延志)

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