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「これからも地道に」手塚賞贈呈式で石川さんらあいさつ

2008年6月14日11時28分

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写真「マンガ大賞」の石川雅之さん(右)ら受賞者たち=12日、東京・丸の内、小宮路勝撮影

 第12回手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)の贈呈式が12日、東京都内で開かれた。マンガ大賞を受けた「もやしもん」の石川雅之さんのほか、俳優の小泉今日子さんが駆けつけるなど、会場は華やかな雰囲気に包まれた。廃止の危機にある特別賞の大阪府立国際児童文学館には、参加者からエールが送られた。(小川雪、大室一也)

     ◇

 マンガ大賞受賞作「もやしもん」は、あらゆる細菌が見え、声が聞こえる特殊能力を持つ農大生を主人公にした学園コメディー。細菌学のうんちくも豊富に展開される。

 33歳の石川さんは、歴代の大賞受賞者でもっとも若い。緊張の面持ちで鉄腕アトムのブロンズ像を受け取った。「受賞の連絡をいただいた時はびっくりして、うそかな、と思うところから始めました」と笑いを誘った。「一人でこつこつやってきた。これからも地道に頑張っていきたい」との決意に拍手がわいた。

 1台の傷ついたピアノをめぐる群像劇「トロイメライ」で新生賞を受けた島田虎之介さん。デビュー以来の出版元である青林工芸舎に「最も感謝したい」と切り出した。

 「設立10年、社員5人の小さな出版社の懸命にやってきたことが、正しいと証明された。青林工芸舎がなければ島田虎之介は存在しなかった」とほおを紅潮させて語った。

 愛猫との日常を通じ、生と死を見つめた「グーグーだって猫である」で短編賞を受賞した大島弓子さんは欠席。代わりに登壇したのは、今秋公開の映画版で、大島さんをモデルにした漫画家を演じた小泉今日子さん。会場は驚きと喜びに包まれた。

 小泉さんは、大島さんのメッセージを「描き始めてから10年余りになりますが、猫を描くことがこれほど楽しいとは思いませんでした。描かずにはいられなかった愛すべきすべての猫たちと、かかわって下さった皆様に感謝しております」と代読した。

 特別賞は、大阪府立国際児童文学館に贈呈された。明治時代以降の子ども文化にかかわる本や雑誌、紙芝居など約70万点を所蔵。国会図書館にもない貴重な資料も多い。

 だが、大阪府の橋下徹知事が廃止の方針を打ち出し、がけっぷちに立たされている。府は現在、同館の存廃を含む行財政改革について、パブリックコメントを7月14日まで募集している。7月の府議会でも議論される。

 館を運営する財団法人の北田彰・常務理事は「児童文学や文化に対して理解が得られない状況は悲しい。今回の受賞を手塚治虫先生からの激励と受け止め、存続に向けてあきらめることなく精いっぱい努力する」と述べ、満場の拍手に包まれた。

 手塚治虫の長男でビジュアリストの手塚眞さんもあいさつに立った。「かつての漫画家は映画にあこがれたが、今年の受賞作を読み、すでに映画ではまねできない幅と深みを持つ表現が生まれていると思った」と述べた。

 「つらい事件が起き、現実が厳しさを増す中で、日本の漫画が笑いとユーモアを生み続け、大阪府立国際児童文学館のような場がそれを継承していくことに、もっと光を当てていくべきだ」と応援演説をした。

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