東京・三鷹の森ジブリ美術館内にパリのルーブル美術館ができた。ダビンチ、ゴヤ、ラ・トゥール、アングルなどルーブルの所蔵するヨーロッパ絵画の傑作80点が所狭しと並んでいる。題して「小さなルーヴル美術館」展。確かによく見ると、みんな本物より絵が小さいのだ。(古賀太)
実はこれらの絵は複製で、40%に縮小してある。展示室に入ると、赤い重厚な壁にフランス絵画が天井まで並び、額縁まで再現していて本物そっくり。天井にはピラミッドを通した青空が広がり、壁の上の装飾まで作りこんである。壁に窓が並んでいるのでのぞいてみると、16世紀パリのルーブルから見たセーヌ川の向こう岸が再現してある。別の窓の向こうにはイタリア、スペインなどフランス以外の国の名画が並ぶ。
次の部屋は暗く、岩壁に囲まれている。左側にはミイラの棺が、右側にはダビンチの「モナ・リザ」がある。その横にはユベール・ロベールの「廃虚となったルーヴルのグランド・ギャラリーの想像図」が飾られ、廃虚も立体で再現されている。小さな井戸をのぞいてみると……。
全体でわずか130平方メートルだが、ルーブル宮殿800年の歴史をかいま見るようだ。絵に触ることができるのも複製ならでは。題名などのキャプションもないので、自由に絵を楽しむことができる。
この企画は、ルーブルのアンリ・ロワレット館長が06年10月、スタジオジブリを訪問して始まった。ジブリ美術館の中島清文館長、映画「ゲド戦記」の宮崎吾朗監督に加え、映画「フラガール」などの美術を担当した種田陽平氏の3人が、翌年6月にルーブルを見学。
80点の絵画を選び、40%に縮小を決めたのは宮崎監督。のぞき窓や中世の再現も提案した。「子供の目線で考えて、のぞき窓など楽しいものを入れた。先方はすべて了承してくれた」と宮崎監督。
オープンに際して来日したルーブル美術館絵画部門学芸員のオリビエ・メレさんは、「我々が一流の芸術家に対して行うように、ジブリに対しては全く白紙委任状を与えた。実は日本側の提案を聞いて少し不安だったが、できあがりを見て、子供をいかに引きつけるか考え尽くされていることに驚いた」と話した。メレさんは10年にできる北仏ランスの分館の担当者。「できれば同じものをランスに作りたい」
来年5月まで開催。完全予約制で料金は通常展示の入場料に含まれている。電話0570・055777(同館)。