東京・銀座のエルメス8階のエレベーターが開くと、目の前に105人分のインド料理が床に広がっている。インドの現代美術家、N・S・ハーシャさん(39)の個展「レフトオーバーズ」の光景だ。
カレーやナンからデザートまで約15種のインド料理が一枚の大きなバナナの葉の上に盛られている。料理は、全く手をつけていなかったり、食べかけだったり、食べ終えていたり。よく見ると、プラスチックの食品サンプル。葉の横には、そこに人がいたかのような足跡のついた布と水入りのコップがある。
ハーシャさんは、02年に福岡アジア美術トリエンナーレに招待された時に、日本のレストランの食品サンプルに興味を持った。今回、故郷の料理「ミールス」の食べかけの写真を何種類も撮り、日本のサンプル業者に作ってもらった。
展覧会名の「レフトオーバーズ」は、「食べ残し、抜けがら」という意味。壁には、美、文化、飢えといった言葉が書かれていたり、がいこつの絵が描かれていたり。食べ残しの山はグロテスクで飽食文明を風刺しているようだが、吹き抜けのガラスから届く外光の中で、極彩色のプラスチックで作られたインド料理の行列はどこかコミカルだ。9月15日まで、無料。(古賀太)