東京の目黒区美術館が、「『画材と素材の引き出し博物館』+ワークショップ20年のドキュメント展」を開催中だ。87年の開館以来、地域住民に開かれた存在として活動してきた、同館の軌跡を見ることができる。
「画材と素材の引き出し博物館」は、美術作品と観客を結ぶツールとして同館が開発した一種の教材で、顔料や絵の具などの画材と木、紙、金属などの素材を引き出しの形にレイアウトしてある。今回は、81の引き出しすべてと関連する所蔵作品を展示している。絵の具だけでも、日本画の天然岩絵の具から合成樹脂絵の具まで12の引き出しがあり、人間が色彩を作ってきた歴史がわかる。
また、毎年開催してきたワークショップを、写真や作品でたどる。それまで美術館の教育普及活動は講演会や実技講座が中心だったが、同館は美術家、学芸員、参加者が対等の立場でもの作りに取り組んできた。例えば89年の「すみか」のワークショップでは、「住んでみたいところ」「行ってみたいところ」をテーマに、展示室で子供たちが自由に建物を作った。これまで約5千人が参加。今夏の講師の一人は、小学生のころ参加した経験者という。
20年間担当してきた学芸員の降旗千賀子さんは言う。「20年前に比べて、大人も子供もコミュニケーションが苦手になった。美術館は、広い意味での人間教育の場を提供することができる数少ない場所。ワークショップがこれまで以上に重要な時代なのではないでしょうか」
31日まで、月曜休館(03・3714・1201)。28、29日には公開フォーラムも。(古賀太)