

関西が拠点で、東京でほとんど発表歴のなかったアートユニット「パラモデル」が、いきなり都内4カ所で展示をしている。おもちゃの「プラレール」の青いレールを部屋じゅうに走らせる代表作は、一度見たら忘れられない強度と楽しさを備えている。
トーキョーワンダーサイト渋谷で開かれているグループ展「都市のディオラマ」(13日まで)では、吹き抜けの床から壁、階段までをレールが走り抜き、天井に届く。どんどんつながるレールは、アールヌーボー的な装飾にも、社会のさまざまな回路を暗示する存在にもなる。
「赤坂アートフラワー08」展(同)では体育館の天井を覆い、初台のICCの展覧会(11月3日まで)でも他作品の足元までレールが疾走。10月11日までの個展(新宿区西五軒町3の7、MORI YU GALLERY TOKYO)では、ミニカーと食品サンプルを合わせたり、塩ビ管をつないだり。
パラモデルは、林泰彦さん(36)と中野裕介さん(32)の二人組で、海外で日本の現代美術を紹介する展覧会にも選ばれている。ディオラマ展の企画者の一人、原久子・大阪電気通信大教授は「誰もが知っているプラレールで、インスタレーション(仮設的な空間展示)というものをぐっと分かりやすくした」と語る。ICC学芸員の畠中実さんも「彼らがいると空間が一つにまとまる。今回の4カ所も彼らがつなげている感覚がある」と評する。つまり、現代美術と社会をつなげる力。
当の二人は、「場所が変わると作品の意味も変わる。まだまだやれることはある」と林さんが語り、「(レールなどによる)『増殖』は僕らの基本テーマ」と中野さん。
パラモデルじたいの増殖も続きそうだ。(大西若人)