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現在デザイン考 最前線2人の言葉から探る

2008年11月12日15時6分

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写真吉岡徳仁さん

写真パオラ・アントネッリさん

写真

 電話機からコードが消え、やがて携帯電話になったように、ものの形、デザインのあり方は急速に変わってきている。いま、デザインでは何が問われているのか。ニューヨーク近代美術館(MoMA)の建築・デザイン部門を率いるパオラ・アントネッリさんと、デザインの未来を考える展覧会を企画したデザイナーの吉岡徳仁さんの言葉から、探ってみた。

 「いま、デザインと科学技術の結びつきに関心があります。モノのデザインだけでなく、コンセプトやアイデアをどう対象にしてゆくか、収蔵のルールを変えていくことも考えています」

 東京のMoMAデザインストアの1周年を機に来日したシニアキュレーターのアントネッリさんは、こう話す。インターネット上のウェブデザインや、パソコンのソフトなども、展示や収蔵の対象に考えなければならなくなってきた、という。さらにデザインを広くとらえ、料理や香りを対象にした展示も考えている。

 こうした状況下、アントネッリさんは、日本のデザイナーの力を「日本という国の財産」と高く評価する。イッセイミヤケの店舗や携帯電話メディアスキンのデザインなどで国際的に評価される吉岡徳仁さんも、その一人だ。

 吉岡さんはいま、東京の2121デザインサイトで、「セカンド・ネイチャー」展を企画、自らも出品している(来年1月18日まで)。

 その作品とは、白いイス「ヴィーナス」。といっても、最終形は「自然」が作った。繊維でイスの形を作り、ある物質の溶液に長時間浸すことで、結晶を付着させた。結晶が構造体となって支えているのだ。

 吉岡さんはレクチャーなどを通し、「デジタル化が進むいま、デザインとはモノの形ではなく、それを受け止める人の中で完成するものではないか」と話し、今回の試みを「頭で考えられることは限られているから、自然の偶然性を採り入れた」と説明する。

 そして「クラゲの光から始まったノーベル賞の下村脩さんの研究のように、生命や自然のなかに未来のヒントが隠れている」とも。

 では、デザインとは何なのか。アントネッリさんは、「アートは作者の内側から出ることも多いが、デザインとは、使いやすさや生活感といった他者の視点があるもの」と指摘。一方、吉岡さんは、「両者はグラデーションになっている」としつつ、「重要なのは、どんな影響や感動を与えられるか、つまり人のためかどうか」と話した。偶然にも、「他者性」の点で二人の考えは一致したのだ。

 目に見えなくなりつつあるデザイン。しかし逆に、造形だけではない、デザインの本質が見えるようになってきたといえるのかもしれない。(大西若人)

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