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「若者よ、もっとラジオを」 看板DJら小中高訪問

2009年3月3日10時48分

 かつて、ラジオは若者と共にあった。でも今の若者はラジオを聴かない。「受信機すら見たことがない」という若者に振り向いてもらおうと、全国民放ラジオ101社が「強攻作戦」に出た。各局の看板番組のDJたちが先月半ばから地元の小中高校を訪問、生徒を交えて番組を収録したり、校内放送を手伝ったりして、「ラジオ体験」作りに努めている。

    ◇

 名付けて「ラジオがやってくる!」キャンペーン。101社は「耳の日」の3月3日を「民放ラジオの日」と定め、各局で学校訪問の様子などを放送する。

 各社は学校訪問の希望校を募集。先月から、地元の学校で番組制作体験(信越放送)、校内放送ジャック(FM徳島)、英会話レッスン(九州国際FM)、などを実施した。

 TOKYO FMの人気番組「スクール・オブ・ロック!」のスタッフは先月18日、東京農業大第一高校を訪れた。1年5組の生徒38人と、パーソナリティーの「やましげ校長」「やしろ教頭」が、恋愛や友人関係の話などで盛り上がる様子を収録。3日に放送される。

 収録後、クラスで尋ねた。「新聞のラジオ番組欄を見たことのある人」=3分の1。「週に1度はラジオ番組を聴く人」=5人。「家にラジオがない人」=3人。

 文化放送の「ロンドンブーツ1号2号田村淳のNews CLUB」が先月23日に訪れた東洋女子高校(東京都)でも、状況は同じ。放送部員が新聞で企画を知って応募したが、彼女たちも普段ラジオをほとんど聴かないという。クラスでも「ラジオの話はしたことがない」。帰宅後、最も長いのは携帯電話の時間というのも共通していた。4時間以上との答えも。

■下降続く視聴率

 実際、ラジオの聴取率は下降の一途だ。NHKの国民生活時間調査では、80年の26%をピークに05年は15%。特に若年層の減少は著しく、10代男性は4%、女性は6%になった。日本民間放送連盟の調査でも、若年層のラジオへの親近感は、テレビ、携帯電話、パソコンに比べ著しく低い。

 「自室にメディアはラジオしかなかったし、自分だけに話しかけてくれるような楽しみがあった。深夜放送を聴いて、よく学校に遅刻した」。「スクール〜」のやましげ校長はいう。かつて、ラジオは青春時代に一度は経験する「通過儀礼」ともいえた。

 しかし現代では、携帯電話はもちろん、パソコンやテレビを部屋に持つ子も多い。ラジオから楽曲を録音する「エアチェック」は死語に。

 上智大の音好宏教授(メディア論)によると、それでもまだ、地方出身者は高校までは地元ラジオを聴いている率が高い。「だが大学に入り、東京に来た途端、ラジオは全国規模になり、テレビと変わらなくなる。朝起きてから夜寝るまで、生活シーンにラジオは組み込まれにくい」

 「相当な偶然がないと、今どきラジオなんて聴かない」(やしろ教頭)との危機感から、各社はここへ来て協力し始めた。昨年は「ラジオで逢(あ)いましょう」と題し、福山雅治、山下達郎ら著名人がラジオの魅力を語る統一企画を実施。「でも、これでは普段からラジオを聴いている人にしか伝わらない。今回は若者の方へこちらから出向き、ラジオを体感してもらう。いかにスイッチを入れてもらうか」。伊沢尚記・ニッポン放送営業促進部長は強調する。

■「音だけ」の良さ

 確かにラジオの受信機の出荷台数自体、ピークだった80年代後半の約4割。これらを受け在京民放ラジオの8社は先月、雑誌「ブルータス」がラジオ特集を組むのに合わせ、受信機を千人に贈る企画を組んだ。「興味を持ってもらっても、聴く環境がなければ関心がそがれてしまう」(TBSラジオ)。

 近年になく全国で中高生に大ヒットとなった「スクール〜」の森田太プロデューサーは「ラジオは音だけ。だからこそ想像力がみなぎり、感性が花開く10代にこそ、情熱やぬくもりといった、ならではの良さを伝えるべきだ」。

 学校訪問を終え、生徒の一人がつぶやいた。「今まで聴いたことなかったけど、ちょっと面白かった。近いって言うか」。火が付けば、若者文化は口コミで広がるのも早い。地道でも、こうした取り組みを続けてほしい。(柏木友紀)

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