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肉筆画、ギリシャで発見 注目される写楽論争(1/2ページ)

2009年6月17日15時38分

写真:東洲斎写楽の肉筆画と判断された「四代松本幸四郎の加古川本蔵と松本米三郎の小浪」東洲斎写楽の肉筆画と判断された「四代松本幸四郎の加古川本蔵と松本米三郎の小浪」

 大著『江戸の浮世絵』(藝華書院)に収められた東洲斎写楽を巡る論考が、注目されている。この本の著者は、浮世絵研究で知られる千葉市美術館長で学習院大教授の小林忠さん。ギリシャで浮世絵師・東洲斎写楽による肉筆画が見つかったと記すだけでなく、さらなる展開を見せる内容だ。より詳細な解説は、6月20日発売の美術研究誌「國華」(発売・朝日新聞出版)に掲載される。(大西若人)

 イオニア海に浮かぶコルフ島のギリシャ国立コルフ・アジア美術館。そこに日本近世の優れた絵画コレクションがあることを、英国のセインズベリー日本芸術研究所長から伝えられた小林さんは、07年夏に同館を訪れ、08年に再調査。その中に「東洲斎写楽」の署名のある扇面画があった。19世紀後半から20世紀に活動した外交官が集めたものだという。

 寛政7(1795)年ごろに演じられたとみられる仮名手本忠臣蔵の一場面を竹紙(ちくし)に描いたもので、小林さんは、確認例の極めて少ない写楽の肉筆画と判断している。

 人物の感情表現の的確さ、細くしなやかで張りのある描線で、「偽物特有の誇張などがない」と小林さん。さらに、写楽独特の耳の描き方に似ていることに加え、再調査に同行した慶応大准教授の内藤正人さんによる朱筆の花押の分析などが判断の根拠となっている。

 内藤さんによると、写楽は花押の最後の部分に、クローバーの葉先のようなごく小さな三つの突起を持たせる工夫をほどこしていたが、その特徴が、認められたという。

 内藤さんは「総合的にみて否定的なところがない」と話し、やはり同行した大和文華館長の浅野秀剛さんも「さまざまな観点から、写楽だと判断できる」と指摘する。

 小林さんの論考がさらに興味深いのは、国内にあるもう一つの肉筆画との比較を試みている点だろう。津市の石水博物館が持つ扇面画の「老人図」だ。

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