2009年6月22日10時52分
新国立劇場演劇部門の芸術監督交代人事をめぐり、同劇場運営財団(遠山敦子理事長)の一連の対応を批判して演劇界出身の理事2人が辞任、演劇人有志などが財団側に3度目の抗議声明を出した問題は、財団執行部と演劇界との溝を改めて示した。
理事を辞任したのは演劇評論家の小田島雄志さんと劇作家の永井愛さん。永井さんは今回の声明に名を連ねた。
財団は昨年6月、当時就任から1年足らずの鵜山仁芸術監督の1期3年での退任と10年秋の宮田慶子次期監督の就任を発表。演劇人は選考手続きが不透明だと猛反発した。
永井さんは理事会で十分な発言が許されず、自由な議論が出来なかったことが辞任の大きな理由だとしている。小田島さんは今年3月の理事会直後に辞任。永井さんは今月19日付で辞任届を出した。
一方、財団側は3月の会見で、霜鳥秋則常務理事が「スムーズでない点もあったが、順序を踏んで決めた。理事会ではこの人事を再議しないことを決めた」と説明した。
双方の認識の隔たりは、財団執行部が元官僚や企業・経済団体出身者で占められ、劇場運営のプロがいないという特殊な事情も影響しているのだろう。だが、作品を生む芸術家との対立がこのまま長引くのは、劇場の将来にとって不幸なことだ。
演劇人有志の19日の会見で、声明に名を連ねた劇作家の井上ひさしさんはこう指摘した。「理事長側が使う『官僚言語』は自分たちを理論武装して守る言い回しを豊富に持つ。だから、彼らの論理では今回の人事は正しいのでしょう。国民の税金を使う施設のあり方をみんなで考えるという視点を第一に、新しい言葉と大きな場所で、両者が前向きに話し合う必要がある」(藤谷浩二)