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「美術品は最高の大使」 クリスティーズ・山口桂さんに聞く

2009年7月1日14時54分

写真:山口桂さん山口桂さん

 文化財は「母国」にあるべきか。昨春話題となった、運慶作とされる大日如来像の米国での競売は、こんな疑問を投げかけた。その競売を行ったオークション会社クリスティーズの日本・韓国美術部門長で、ニューヨーク在住の山口桂さんに、日本美術が海を渡る意義や評価などを聞いた。

 「文化財の海外流出」。昨年、大日如来像のクリスティーズ出品が報じられるとそんな声も出た。結果的に日本の宗教法人が落札したが、山口さんはそんな意見の根っこに「日本の美など分からない外国人の手に渡れば、ぞんざいに扱われるという誤った思い込みがあるのでは」と話す。

 だがむしろ、過去に多くの美術品が海を渡ったが、「明治維新などの激動期、結果的に外国のコレクターによって多数の名品が守られた。浮世絵などは米国の研究や評価が逆輸入されて、日本での研究が進んだ」と指摘する。

 米国にはメトロポリタン美術館やボストン美術館、伊藤若冲の名品を収集し、ブームにつながったプライス・コレクションなどがあり、日本美術を集め、研究してきた。

 さらに、「美術品は最高の文化大使。優れた品を見て興味を持ち、日本に行く人もいる。特に宗教美術は、異文化を尊重する気持ちにもつながる」。貴重な文化財なら何でも「母国」にあるのが一番だという、狭いナショナリズムに陥るべきではないというわけだ。

 日本美術が海外の人々を引きつける理由について、山口さんは「漆、やきもの、彫刻などと多様で、絵でも水墨画もあれば極彩色の琳派(りんぱ)や浮世絵もある。その多彩さと表現の繊細さ」をあげる。

 現在、世界的な不況で美術市場は縮小傾向。その中で、アジアでは中国古美術品が堅調という。「中国人は自国の文化に関心を高めている。日本人も日本文化のよさをもっと知り、外国に伝えてほしい。それが『国際人』です」(小川雪)

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