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老女50人のサバイバル 佐藤友哉さん新作「デンデラ」(1/2ページ)

2009年7月22日14時33分

 「姥(うば)捨て」された老女たちが共同体をなしてしぶとく生き残る――。佐藤友哉さんが、深沢七郎の『楢山節考』の後日談ともいえる設定の長編小説『デンデラ』(新潮社)を発表した。過酷な環境におかれた人々の絶望的な闘いを描きながら、疾走感がほとばしる“快作”だ。

 「村」には70歳を迎えた老人は「お山」に参る因習がある。山に入った主人公の斎藤カユは極楽浄土に赴くことを願っていた。だが、「お山」の反対側では、100歳の三ツ屋メイを頭とする老女49人が共同体「デンデラ」を形成して生き延びており、カユは図らずも救出され、そこで生活することになる。

 佐藤さんは「学生時代に映画『楢山節考』を見た時、実人生とは関係ない話なので、しんき臭くつまらないと感じた。でも、姥捨て伝説をテーマに、エンターテインメントから純文学の要素までひっくるめた物語にしたら、すごい化学反応が起きるのでは、と構想したんです」と語る。

 「デンデラ」では食糧不足に加え、熊の襲撃、疫病の流行が起こり、老女たちはバタバタと死んでゆく。それでも老女たちは果敢に生き残りに賭ける。

 「サバイバルものを書いてみたかった。老女なので生活力も体力も乏しいが、そこで苦しい、さもしいだけを描いたら、つまらない映画と同じになる。読者に読んでもらうには、破れかぶれかもしれないが異常にテンションの高い生き方を描いてみたんです」

 老女たちの間では、自分たちを捨てた村に報復しようとする襲撃派と、生活の安定を望む穏健派とが対立している。

 「『楢山節考』では、村から捨てられた老女がなぜ腹を立てないのかわからない。怒るのが自然の感情であって、人数がそろったら冗談でも襲撃を考える人たちがいておかしくない。村を襲うのは体制への異議申し立てです」

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