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東アジア視野に再考 「日本建築は特異なのか」展(1/2ページ)

2009年8月19日14時35分

写真:  

 「“日本的”という言葉を発するまえに、十数えてくれれば、日本の美術史は十年早く進展するだろう」。美術史家の戸田禎佑さんはかつてそう記した。東アジア、特に中国との関係を見ずに、ナショナリズム的な観点に陥ることを戒める一文だった。

 国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)で30日まで開かれている「日本建築は特異なのか」展は、まさに東アジアを視野に収めて日本の建築史を再考する企画。日本建築が特異なのかはさておき、この展覧会が特異であることは間違いない。

 有名建築家の業績を紹介する建築展は数多いが、建築史を扱う展覧会は珍しい。しかも、中国、韓国、日本という広い範囲の建築を、古代から近世にまでわたって考えようというのだから、特異というほかない。国内外の研究者の参加を得て、実現させた。

 扱う建築も、宮殿、寺院などの宗教建築、住宅と幅広く、技術や道具にも光を当てる。では巨大展なのかといえば比較的コンパクトで、簡素ながらも模型などを生かし、展示や図録などを通して興味深い視点を提供している。

 例えば、中国の仏塔は上層に上れるが、日本のものは上れないとか、日韓の鉋(かんな)は形は似ているが、日本は引いて、韓国は押して使うとか。企画代表者の玉井哲雄・同館教授は「日本のものは薄い鉋くずを出しながら、精度の高い仕事がしやすい」と話す。

 さらに、神社を巡る論考。類似の存在は中国や韓国にはないらしく、しかも神明造、大社造、住吉造など、様式が多岐にわたる。藤井恵介・東京大准教授は「乱暴な推定だが、仏像のような神像があまりなかったので、神社の特徴を建築の形で示すことになったのではないか」と話す。

 いずれも、それだけで研究や展覧会ができそうなテーマだが、今回はさらりと触れられている程度。できる範囲で「初めの一歩」を記し、「建築史展」を実現させることが重要だったのだろう。

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