2009年11月18日15時15分
中島梓(栗本薫)さん
中島梓(栗本薫)さんの絶筆となった闘病日記『転移』(朝日新聞出版)が20日、刊行される。5月26日に膵臓(すいぞう)がんで亡くなる直前まで書き続け、「今度は本当に本音だけを書いてゆきたい」と記し、飾らない思いが詰まっている。
これまでもがん再発の闘病記は出しており、今回は08年9月以降の日記を収録した。
病状が進んでからも、1日に400字換算で数十枚、原稿を書くことがあった。その気持ちをこう記す。
一気に50枚書き上げる快楽はなにものにもかえがたい。そのときの疾走感、おのれの力を感じる感覚、充足感、「なしとげた」という満足感。あれに結局中毒して、私はワーカホリックになってるんだろう
音楽やミュージカルなどに手を広げてきた過去をふり返るこんな描写もある。
何千万もの借金を背負い、事務所が破綻(はたん)しかけたとき、25kgも太ってしまった。あの10年間の地獄のことを考えると、いまのこのボロボロの傷ついたからだはなんといとしいのだろう、やっと手にいれた本当の自分のからだかもしれない
病気が進行し、家族へ向ける思いも変わってきた。
旦那(だんな)がほっとして酔っぱらうくらいのことは許してやりたいな、と思うようになった――私もずいぶんと変わったものだ
賛否両論を集め、特異な表現者として生きた姿が浮かんでくる。(加藤修)