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社会学研究者の仁平典宏さん ボランティアのあり方探る

2009年11月19日14時52分

写真:仁平典宏さん仁平典宏さん

 ホームレス支援団体「中野夜廻(まわ)りの会」(東京都中野区)の世話人として中野駅周辺で月2回、野宿者におにぎりなどを配りながら声をかける。学生時代に知的障害者通所施設に通い始め、山谷での炊き出しにも加わった。ボランティア歴は13年になる。

 他方で社会学研究者として、ボランティアの「負の側面」を実証的に分析することに力を注いできた。「自分が成長し、結果的に社会の役にも立つ」といった、ボランティアをとりまく言葉に気持ち悪さを感じていたという。

 「日本では、社会保障費を抑える動きの中で、ボランティアが称揚され、動員されてきた面もあります」

 自己責任が強調されるネオリベラリズムとボランティアを取り巻く環境との「共振」を考察した論文で日本社会学会奨励賞(06年)を受けた。「ボランティアの称揚は、ホームレスなど『危険』とみなされる他者や、政治的に従順でない支援団体を排除する動きとも紙一重。ボランティアには大きな可能性があるけれど、その危険性も踏まえないといけません」

 「反貧困ネットワーク」のメンバーでもある。「『働く意欲がある人は救わなければいけない』。行政もメディアも学者もこんな考え方だが、意欲の有無に明確な線引きはできない」というのが持論。自身も生活のめどが立たず、やる気を失いかけたことがある。今年度から大学の専任講師の職を得たが、「私より優秀でも職がない人は多い。意欲や能力の問題ではなく、労働市場の問題です」。

 ボランティアに関する初の著書を来年出す予定だ。「でもまだ、研究者としてはスタート地点に立ったところ。これからも現場から学びながら、ボランティアや社会保障に関する議論を繰り広げていきたいですね」(谷啓之)

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