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「経済危機は民主主義に脅威」 エマニュエル・トッド氏(1/3ページ)

2009年11月21日10時44分

写真:エマニュエル・トッド氏=東京都新宿区、郭允撮影エマニュエル・トッド氏=東京都新宿区、郭允撮影

 フランスの歴史人口学者エマニュエル・トッド氏が、青山学院大学の招きで来日した。イラク戦争前の02年に刊行された『帝国以後』(邦訳は03年、藤原書店)で、いち早く米国の衰退と世界金融危機の到来を予見。新刊でも次の「予言」をして注目されている。

 『帝国以後』は日本でも13刷2万部と、翻訳の人文書としては異例のヒットとなり、新刊『デモクラシー以後』(同)も増刷となった。

 同書でのトッド氏の次の「予言」は、自由貿易体制による経済危機の深化が、先進国の民主主義を脅かすというものだ。イデオロギー対立は空虚となり左派も右派も似たような経済政策しか打ち出せない中で、選挙は「みせかけの左右対立」を演じる場になりつつあるという。

 「予言」の基底にあるのは、地域ごとの伝統的な家族類型の分析だ。親子関係の自由さや兄弟関係の平等さが、社会の価値観と深く連関しているとし、さらに乳児死亡率や識字率の変動といった基本データから社会構造の変化を読み取る。

 松原隆一郎東京大学教授(社会経済学)は、トッド氏のユニークさは「人間の合理性には限界があるとするトータルな人間観」にあるという。経済学の主流となった新古典派の議論では、人間の価値観はバラバラだが常に合理的な選択をし、未来は予測可能とされる。しかしトッド氏は、人間は基本的な社会観を家族に学ぶのだから、完全に自由で抽象的な個人などいないとみる。

 松原氏は、トッド氏の議論が、新自由主義の理論でもある新古典派の前提に枠をはめる役割を果たしていると指摘。「複雑な数式を操る金融工学に比べてトッドの方法はシンプルだが、より健全で人間的だ」としている。(樋口大二)

■「政権交代、日本人の認識は進んでいる」

 トッド氏に、日本の政権交代や民主主義について聞いた。

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