2010年1月21日18時24分
昨年のプロ野球の陰の主役は、実は「近鉄バファローズ」ではなかっただろうか。
パ・リーグ2位の躍進で話題をさらった楽天は、2004年に近鉄とオリックスが合併した際、合併球団に残らなかった選手たちを核に生まれた球団だった。クライマックスシリーズでは、近鉄最後のエースだった岩隈投手が、やはり最後の指揮官だった梨田監督が率いる日本ハムに投げ込んでいた。
そして、米大リーグのワールドシリーズに2年連続で進出したのは、近鉄を初優勝に導いた“赤鬼”マニエルが率いるフィリーズだった。
その近鉄の帽子についていた球団マークを覚えている人は、今どれぐらいいるだろうか。そして、そのマークは画家の岡本太郎(1911〜96)がデザインしたということを、どれぐらいの人が知っているだろう。しかも当時、彼はマークをもう1案作っていたというのだ。その「幻の近鉄バファローズのマーク」の原画がいま、東京・南青山の岡本太郎記念館で展示されている(2月28日まで)。
58年秋に近鉄監督に決まった“猛牛”こと千葉茂が友人の太郎にデザインを依頼。行方が分からなくなっていた幻の案の原画が、2年ほど前に資料庫で見つかった。「ふとっちょの猛牛が目をむいて突っ込んでる愉快なやつ」(岡本太郎)で、横から見た全身像が描かれている。当時弱小だった近鉄にはユーモラス過ぎるということで、提案されなかったという。
これに対し実際のマークは、猛牛の顔を正面からとらえ、図案化したもの。縄文文化などを愛した岡本太郎にしては、洗練されてモダンすぎる印象もあったが、「幻」の方はひんむいた目も含めて、いかにも岡本太郎調。両者を併せて制作したという事実に、妙に納得もする。