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森村泰昌がなりきる「日本の自画像」 都写真美術館で(1/2ページ)

2010年4月16日15時48分

写真:森村泰昌さん森村泰昌さん

写真:ホールの大画面で上映されている「烈火の季節/なにものかへのレクイエム(MISHIMA)」(2006年)拡大ホールの大画面で上映されている「烈火の季節/なにものかへのレクイエム(MISHIMA)」(2006年)

写真:「海の幸・戦場の頂上の旗」(2010年)の一場面拡大「海の幸・戦場の頂上の旗」(2010年)の一場面

 三島由紀夫から、内外の為政者、ピカソや手塚治虫といった表現者まで。美術家の森村泰昌さん(58)が20世紀を作った男たちに扮した写真や映像作品を集めた個展が5月9日まで、東京都写真美術館で開かれている。誇張や滑稽(こっけい)味にあふれる表現が、なぜか見る者に切々と訴えてくる。

■滑稽な表現 胸に迫る

 「静聴せよ。静聴せよ。静聴せよと言っているんだ」

 「森村泰昌 なにものかへのレクイエム」展の会場ホールでは、大画面で、三島に扮した森村さんが叫ぶ。1970年の自衛隊市ケ谷駐屯地での演説を再現した映像作品だ。しかし憂えるのは、国よりもむしろ芸術。「自分を否定する現代の日本の芸術の流行(はや)りすたりに、どうしてそんなにペコペコするんだ」と。

 森村さんは85年、自分を受け入れてくれない美術の世界に「これでも食らえ」というつもりで、顔に色を塗ってゴッホの自画像になりきった。

 なりきることによる、自己確認。以後、西洋美術の名作の人物に扮する写真表現で評価を得てきた。「戦後教育では美術といえば西洋美術。だからそこから始めざるをえなかったけど、そろそろ日本に向かってもいいかな、と」。加えて「21世紀になって、20世紀のことが消し去られている」という思いもあった。

 ではどうやって「20世紀の日本」に向かうか。手がかりが三島だった。多感な年齢で接した、自衛隊での演説と割腹自殺。「彼は三島由紀夫という芸術家名で行動を起こしている。芸術表現ともいえるんです。そこから入れば、浅沼稲次郎にも、あるいは海を飛び越え、時代をさかのぼってレーニンにも行ける」

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