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英国に蔵書寄贈「待った」 考古学協会、16日再協議(1/2ページ)

2010年10月11日11時21分

写真:倉庫に棚積みされた、日本考古学協会の蔵書=2月、埼玉県所沢市、同協会提供拡大倉庫に棚積みされた、日本考古学協会の蔵書=2月、埼玉県所沢市、同協会提供

 国内有数の考古学の専門書群5万6千冊余りの行き先が問題になっている。所蔵する日本考古学協会が受け入れ先を公募し、英国の研究所に寄贈が決まった。それに一部の会員が反発、16日に協会としての対応をあらためて協議することに。騒動には、蔵書を持て余し活用できなかったという長年の経緯もからんでいる。

■預け先転々 長年活用できず

 「学問の責務についての自覚を決定的に欠いている」「協会蔵書は、理事会の私物ではない」「信じがたい愚行」……。協会の有志が7月に発表した意見書には、強い表現が連なる。9月9日には、海外への蔵書寄贈に反対する会員489人の署名を提出。定款を満たすため、協会は10月16日に臨時総会を開き、寄贈先について再び話し合うことを決めた。

 有志の一人、松本富雄・埼玉県三芳町立歴史民俗資料館長は「戦後日本の成長期の開発のなかで、考古学がどう歩んできたのかを知る記録が集約されている」と指摘する。

 蔵書は、1948年の協会発足以来、全国の会員や自治体が寄贈してきた遺跡の発掘調査報告書や考古学関係の図書。なかでも、在野の研究者らによる地域の同人誌が多いのが特色だ。一般にあまり出回らず、公的な学術誌とは異なる独自の研究成果を静かに世に問うてきた。松本さんらは「分野にとらわれない一大アーカイブは他にない」と主張する。

 対する協会理事の石川日出志・明治大学教授は「こういう結論しか出せなかったのは情けないが現実」と語る。

 実は、蔵書の保存と活用の問題は、以前からあった。

 70年代には国立考古学博物館を建設してアーカイブ機能を持たせる構想が浮上、一方では「協会自前の図書館を」との声もあがったが、いずれも立ち消えに。図書の預け先も、東京近郊を転々とし、現在は埼玉県所沢市の倉庫に保管されている。

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