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再生のあり方探る文化施設 宮城のリアス・アーク美術館(1/2ページ)

2011年5月11日15時13分

写真:地震の影響で一部が崩れ落ちた彫刻作品拡大地震の影響で一部が崩れ落ちた彫刻作品

写真:震災で被害を受けたリアス・アーク美術館=いずれも3月31日、宮城県気仙沼市拡大震災で被害を受けたリアス・アーク美術館=いずれも3月31日、宮城県気仙沼市

写真:被災前のリアス・アーク美術館=石山修武氏提供拡大被災前のリアス・アーク美術館=石山修武氏提供

 東日本大震災で、多くの文化施設が被害を受けた。とりわけ、リアス・アーク美術館(宮城県気仙沼市)は被害が甚だしく、今年度は全事業が中止の見通し。2カ月を経ても再開の予定は立たない。リアス(深い入り江)のアーク(方舟(はこぶね))という名の美術館に、これから何をのせるべきか。模索はこれからだ。

●文化や価値も流される

 民具や専門書に囲まれた中に、カップめん、ペットボトルの水、常備薬、備品のソファで作った寝床。3月末に美術館を訪ねた。薄暗い学芸員室に、山内宏泰主任学芸員がいた。市内の自宅を津波で失ったが、震災直後から寝泊まりし、所蔵品を守っていた。

 山内さんは「人の生活がまずあって、美術は社会を見るための窓。人生をかけてきたが、この土地の文化活動、価値体系そのものが流された。美術館としての実質的な死かもしれない」と話す。

 美術館は1994年、宮城県が創設した。石山修武(おさむ)設計の、舟に似せた斬新な建物は、日本建築学会賞を受賞。今は気仙沼市と隣の南三陸町による広域行政事務組合が運営している。民俗資料など二千数百点を所蔵し、山海の幸豊かな三陸地方らしく、食を軸にした展示で親しまれてきた。

 高台にある美術館は津波こそ逃れたが、壁や床板にひびが走り、若手作家の彫刻作品の一部も崩れた。倒壊の危険はないというが、いまだ補修・再開のめどは立っていない。中でも耐震補強は難題。震災前の診断で、補強に4億円以上かかるとされている。運営予算は年間3千万円余りの美術館には負担が大きすぎる。

 傷ついたのは建物だけでない。

 美術館や学芸員たちは、地域に寄り添ってきた。山内さんは、東北や北海道の若手作家約40人をシリーズの企画展で紹介。気仙沼のまちづくり活動にも力を注ぎ、紹介本まで手がけた。漁業が専門の川島秀一副館長は、三陸の浜という浜を歩き、古老の話や漁具などを集めてきた。その活動の源泉だった地域が根こそぎ流された。

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