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岡本太郎壁画に原発の絵付け足し お騒がせ集団

2011年5月27日12時34分

写真:岡本太郎の壁画「明日の神話」の余白部分に張り付けられたチン↑ポムの作品=5月1日、東京・渋谷駅、岡本太郎記念館提供 拡大岡本太郎の壁画「明日の神話」の余白部分に張り付けられたチン↑ポムの作品=5月1日、東京・渋谷駅、岡本太郎記念館提供

写真:チン↑ポムの映像作品「気合い100連発」 拡大チン↑ポムの映像作品「気合い100連発」

 アートか、いたずらか。若手美術家集団「Chim↑Pom(チンポム)」の活動が物議を醸している。

 発端は今月1日。東京・渋谷の駅構内に設置されている巨大壁画「明日の神話」の右下の余白に、ベニヤ板が張り付けられていたのだ。ベニヤ板には、福島第一原発を連想させる骨組みだけの建物から黒い煙が立ち上る絵が描かれていた。

 これがチン↑ポムの行為と分かったのが18日夜。代表の卯城(うしろ)竜太さん(33)らが認めた。「明日の神話」は故岡本太郎が1968〜69年に制作した作品で、原爆が爆発する瞬間を描いたとされる。「福島の原発事故で時代が更新したので、それを付け加えた。岡本太郎は超リスペクトしている」とメンバーの一人、エリイさんは話す。

 チン↑ポムは30歳前後の美術家6人のグループ。2008年、広島で原爆ドームの上空に「ピカッ」という文字を飛行機雲で描いて批判され、被爆者団体に謝罪したことがある。今回の行為についてはどうだろう。

 「ユーモラスな挑発行為」と見るのは京都市立芸術大の建畠晢(あきら)学長。「これくらいは許容される世の中のほうがいい」と話す。明治学院大の山下裕二教授も「芸術作品として成立している。岡本太郎が生きていたら面白がるだろう」と、美術関係者は好意的だ。

 チン↑ポムは何をねらったのか。その企ての全体像が20日に始まった新作展(25日まで、東京都江東区の無人島プロダクション)で明らかになった。

 震災後、「美術家として何ができるか」と考えて、いち早く被災地を訪れたという。そこから生まれたのが、津波で流された漁船やがれきが散乱する漁港で、現地の若者らと円陣を組む「気合い100連発」や、防護服姿のメンバーが福島第一原発を望む展望台で旗を振る「REAL TIMES」などの映像作品だった。

 渋谷での行為がいたずらっぽい「予告編」なら、新作展は意外に硬派な「本編」。「お騒がせ集団」と見られがちなチン↑ポムだが、したたかな戦略を描いていたのだった。(西岡一正)

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