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世界遺産は楽じゃない 騒音やゴミで「観光公害」(1/2ページ)

2011年6月21日12時8分

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 ユネスコの世界遺産に、「平泉」「小笠原諸島」が登録される見通しとなり、日本中をお祝いムードが覆う。たしかに、観光客が増えるといった経済効果が期待され、地域振興にもなるだろう。でも、現場では負の「遺産」も指摘されている。文化遺産を中心に世界遺産の功罪を考えてみた。

    ◇

 「暮らしが壊れるんじゃないかと不安になった。昔はみんな家にカギもかけなかったのに」

 2007年世界遺産に登録された「石見銀山」(島根県大田市)。ある住民(63)は登録後の喧騒(けんそう)をこう振り返る。

 「間歩(まぶ)」といわれる坑道が約600ある銀山。ふもとの鉱山町は、今も約1キロの街道沿いに武家や商家の旧宅が並び、住民が暮らす。だが街道は、銀山への主要な観光ルートでもあり、観光客が殺到した。

 渋滞防止のため、車から降りて専用バスで移動する方式を導入したが、バスが頻繁に往復し、騒音や振動を生んだ。マナーの悪い観光客が民家の植木を盗むなどの被害も出た。

 08年、住民の意向でバスをやめ、徒歩による方式に変更。銀山の間歩までは往復約5キロ、鉱山内の観光も含めて2時間超のルートだ。「大型バスの団体客は来にくくなり観光客減の一因になった」と市担当者はいう。

 実際、石見銀山の観光客数は、登録の年こそ前年の1.8倍に膨れたが、翌年は微増。その後2年続けて減った。東洋大の島川崇准教授(観光学)は「観光振興と、コミュニティーや文化を守ることとの両立は難しい」と指摘する。

 1995年に登録された「白川郷・五箇山の合掌造り集落」(岐阜県など)も同様だ。白川村内約600人の集落は渋滞や騒音のほか、ゴミの不法投棄や山野草の採取など、観光客のマナー違反に苦しんだ。啓発ビデオを作り、事前にビデオを見てもらうといった対策をとった。

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