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2011年12月8日11時2分
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十字軍に学ぶリーダーとは 塩野七生に聞く(1/2ページ)

写真:塩野七生さん拡大塩野七生さん

 賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ。私たちはどちらだろう。地中海世界の歴史を書き続ける作家、塩野七生は「人間は何からも学んでいない。相も変わらず失敗ばかり」と話す。なお続くキリスト教とイスラム教の対立に十字軍の歴史を重ねたら。『十字軍物語』シリーズを完結した塩野の言葉から生きるヒントが見えてくる。

 「神がそれを望んでおられる」を合言葉に、聖都エルサレムを目指すキリスト教世界の十字軍、それを迎え撃つイスラム教徒。『十字軍物語』は200年に及ぶ両者の壮絶な戦いと、あいまに生まれた和平をダイナミックに描く。結局は失敗に終わった十字軍の事後の受け止め方が、現代につながるという。

 十字軍後、西洋の大学でイスラム学科が生まれた。「負けた時に相手を研究するのがキリスト教世界。後のルネサンスは自分たちへの疑いと反省から生まれた。最後に勝ったのはキリスト世界でしょう」。一方のイスラム世界は「相手に興味がない。イスラムはなぜ勝利を活用できなかったのか。反省がないから次の発展がないのです」。

 十字軍の歴史を書きながら「善意ぐらい悪をもたらすものはない」と思ったという。8度にわたる遠征で最も悲惨な結末はフランス王ルイ9世が率いた第7次十字軍。熱心な信者だったルイは、キリスト教徒の血を流してこそ聖戦というローマ法王の言葉を素直に受け止め、無謀な行軍で惨敗、大きな犠牲を払う。「自分に疑いを持っている人はあまり悪行は犯さない。自分を正しいと思っている人たちが災害をもたらすと思う」

 ルイがダメなボスなら、理想のリーダーはイギリス王リチャード「獅子心王」だ。彼の第3次十字軍は交渉でキリスト教徒の聖地巡礼を認めさせた。戦略的な思考と前線に切り込む勇気を併せ持ち「勝つべくして勝った男」と評する。居眠りして捕まりそうになる場面もあるが「俺たちがいないと、と部下に思わせるのが一番強いリーダー。完璧な人はだめです」。

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