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第57回角川俳句賞・短歌賞の贈呈式が1月20日、都内であった。俳句賞はキャリアカウンセラーの永瀬十悟(とうご)(58)。短歌賞は高校3年生の立花開(はるき)(18)で、大谷雅彦、小島なおと同年の最年少受賞だった。
俳句賞の受賞作「ふくしま」(50句)について正木ゆう子選考委員は「作者は福島県須賀川市在住。災害を詠むかどうか、被災者であることが問題かどうかで、議論は紛糾した。これまで名前を知らなかったが、力量は十分にある。震災後にも日常があるということを俳句によって書き留めている」と評した。
・避難大事恋も大事やチューリップ
・蜃気楼(しんきろう)原発へ行く列に礼
・県境にとどまる宅急便と春
・牛虻(うしあぶ)よ牛の泪(なみだ)を知つてゐるか
・陽炎(かげろう)の中より野馬追ひの百騎
・滝桜千年ここを動かざる
震災で永瀬の家も半壊した。余震と放射線のおびえの中で、「この不条理を伝えなければ」と思い、一から作り直した作品で応募した。「震災と原発事故を詠んだ作品での受賞は複雑だが、俳句は身の回りの命の営みを詠むもの。これからは希望の光を詠んでいきたい」と語った。婚約破棄されても前向きな女性のことを紹介。「福島の女性はたくましい。結婚相手にぜひ」と笑いを誘った。
「一人、教室」(50首)で短歌賞を受けた立花は愛知県在住。来月、大学受験を控え、名前は筆名だ。
・やわらかく監禁されて降る雨に窓辺にもたれた一人、教室
・消えかかる少女がたたずむシャーペンに「変わってほしい?」と聞く六限目
・新緑のすき間に光る木漏れ日に五月のただ中目覚めれば性
11歳で俵万智の歌に「こんなに美しいものがあったのか」と驚き、短歌を身近に感じてきたが、作るようになったのは1年前から。自分の思いをうまく周囲に伝えられず苦しんでいた時、突然、歌がわいてきたという。以来、結社に所属せず、インターネットの掲示板に投稿を始め、メンバーの勧めで初めて応募した。
島田修三選考委員は、「10代という『時分の花』の輝きもあるが、感受性だけでなく、的確に短歌定型に収める技量を備える」と評した。
立花は緊張した面持ちで「応募作は31文字の固まりで浮かんできたものばかり」と語り、「短歌は私を照らしてくれる光です。苦しい時も幸福な時も、自分が感じたものを誠実に受け取れる歌人になりたい」と目標を掲げた。(宇佐美貴子)