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2012年6月7日10時29分
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少数者の本音、熱く語る 性同一性障害・杉山さん司会

写真:実家は新宿・歌舞伎町で50年以上続くとんかつ屋だ。「この街が僕をおっきく育ててくれた」と杉山さん=新宿区歌舞伎町、恩蔵歩実氏撮影拡大実家は新宿・歌舞伎町で50年以上続くとんかつ屋だ。「この街が僕をおっきく育ててくれた」と杉山さん=新宿区歌舞伎町、恩蔵歩実氏撮影

 性的少数者や薬物中毒に苦しんでいた人などをゲストに呼んで赤裸々なトークを繰り広げる「ハートネットTV Our(アワー) Voices(ボイス)」(Eテレ、毎月第2月・火)に、性同一性障害(GID)の杉山文野(ふみの)さん(30)=東京都新宿区=が司会者として出演している。体は女なのに心は男。生きづらさを背負ってきた杉山さんならではの当事者とのやりとりが熱い。

 ゲスト パートナー(女性)に自分(体は女で心は男)との子どもが欲しいと言われ、それだけはできないと言ったら、ふられました。

 杉山さんは、自らも交際中の女性との結婚を彼女の両親に反対された経験を打ち明け、「つらい思いをしたまま逃げたら、つらかった分だけ損」と励ました。

 番組は先月7日にスタート。社会的に「マイノリティー」を抱える人たちが、恋愛や親子などの普遍的なテーマを語り合う。杉山さんと作家の石田衣良さん、若手アート集団「Chim(チン)←Pom(ポム)」メンバーのエリイさんの3人が進行役。杉山さんはレズビアンやGIDの「腫れ物に触るように扱われる当事者」に対し、ずばっと切り返す。「それが僕の役割だと思う」

 物心ついた時から、自分の体に違和感があった。七五三では泣きながら着物姿の写真を撮った。胸がふくらみ生理が始まると、苦痛にあえいだ。セーラー服を着た中学時代。必死で「女装」に耐えた。体は女になっていくのに心は男に向かう。自己嫌悪に陥った。

 早大大学院を2007年修了。半生を本に記した。家族や友達へのカミングアウトや、ガールフレンドとの性交渉、自分を失いかけて死を考えたこともつづった。「僕の本を読んで『救われた』と言われたことが僕自身の救いにもなった」

 09年、悩み抜いた末にタイで胸を取り去る手術をした。その後「普通のサラリーマンをしたい」と都内の大手外食企業で働いた。

 性的少数者について、もっと当事者や子どもたちと会って話がしたい、という思いが募った。自分にしかできないことを精いっぱいやってみたい。そんな頃、司会の話が舞い込んだ。

 番組の林敦史チーフプロデューサーは「彼自身がこれまで外に伝えようとしてきた力に託したいと思った」と起用の理由を語る。杉山さんが自身の経験も交えながら話を進めることで「アナウンサーでは聞きづらい話も自然に引き出し、番組を引っ張ってくれる」と手応えを感じている。

 テレビに出ることに気負いはないと杉山さんは言う。でも、自分がほかのマイノリティーの人たちの希望に少しでもなれたらと思う。「大げさですけどね」(今村優莉)

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