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2012年6月7日10時29分
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〈甲乙閑話〉AKB、「古さ」の戦略

 アイドルグループAKB48の「選抜総選挙」の開票が近い。次のシングル曲を歌うメンバーを決めるこのファン投票が、盛り上がっているのだ。今どきの女の子たちを集めて、新機軸を次々に打ち出してきたAKBだが、実はその戦略には、あえて「古さ」も取り入れているように見える。

 合成音声による仮想アイドル「初音ミク」が海外でも人気を博す時代に、専用劇場に足を運び、AKBに「会いに行く」と、公演後はメンバーたちがハイタッチで送り出してくれる。そして巨大な握手会。

 神聖にして、あるいは虚構ゆえに触れられない偶像ではなく、確たる身体を持つ実像として、ファンを増やしたのだろう。

 そして、CDへのこだわり。握手券や総選挙への投票権という特典の力もあって、7作連続のミリオンセラーだ。音楽もCDというモノから配信へと移ってきているはずなのに。しかし、中高年や、新聞・テレビといったメディアは、100万枚といった数字に弱い。ファン以外の、特に社会を担うような層にも浸透したといえる。

 そして、まさに中高年が飛びつきそうな「総選挙」と名付けられた祭典で、ファンを引きつける身体性に、CDの売り上げ記録が導いた多くの視線が注がれる。

 明日6日、意図的と映る「古い」戦略によって築かれた場で、「新しい」選抜メンバー16人が選ばれる。(大西若人)

(2012年6月5日付朝日新聞朝刊に掲載されたものです。)

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