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2012年7月6日10時25分
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金子みすゞ根強い人気 日常輝かす視点、震災後に響く

写真:20歳の金子みすゞ=金子みすゞ著作保存会提供拡大20歳の金子みすゞ=金子みすゞ著作保存会提供

 東日本大震災後に注目された童謡詩人の金子みすゞが、いまも根強い人気を保っている。大災害に直面して初めて、多くの人が気づいた日常の尊さ。昭和初期に20代の若さで逝った詩人はとうの昔から、その輝きをしなやかに、軽やかに言葉に紡いでいた。

 みすゞ(本名テル)は1903年生まれ。女学校を卒業後、詩を雑誌に投稿し始めた。結婚し長女を授かったが、26歳で自ら命を絶った。

 みすゞの知名度が一気に高まったきっかけは、テレビCMだった。震災直後に企業がCM放送を自粛する中、みすゞの詩を朗読するACジャパンのCMが繰り返し流れたためだ。

 すると、昨年度は山口県長門市にある「金子みすゞ記念館」の来館者が前年度比で2倍近い15万人超に。童謡集「わたしと小鳥とすずと」の売り上げも4万部と例年の倍以上に達した。勢いは海外にも及び、中国では初の全集まで発売された。9日には、ドラマ「金子みすゞ物語」がTBS系で放送される。

 人はなぜ彼女の詩に魅せられるのか。記念館の矢崎節夫館長は「当たり前すぎて見過ごしていた大事なことに、みすゞは気づき、誰にでもわかる言葉で表現しているからだ」という。

 例えば、CMでも流れた「『遊ぼう』っていうと 『遊ぼう』っていう」で始まる「こだまでしょうか」。思いを受け止め呼応してくれる人がいる何げない日々の輝きをうたう。シンプルな言葉で描く日常は、震災後という「非日常」を生きる日本人にとって、ひときわまぶしく感じられるというわけだ。

 視点を多様化しているのも、みすゞの詩の特徴だ。「雀(すずめ)のかあさん」では、子スズメを捕まえた子どもの母親は笑って見ているが、母スズメは鳴かずに様子を見ていた、と動物の視点を強調。別の詩では「きのふは子供をころばせて けふはお馬をつまづかす」と石ころにもなり、人と自然との距離を相対化させる。

 こうした人間中心ではない世界観は仏教の教えに重なり合う、と震災前からみすゞの詩を講演会で紹介し続ける群馬県東吾妻町の僧侶酒井大岳さんは指摘する。「彼女は人が自然の中で生き、生かされていることを軽やかにうたう。モノやお金では満たされないうつろさに覆われる日本で、信仰のように心のよりどころとなっているのかも知れません」(佐藤美鈴)

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