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2012年7月7日11時50分
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「超群島 ライト・オブ・サイレンス」展 時空に浮かぶ3・11後

写真:磯崎新「しまじまの黄昏」(2011年)の展示拡大磯崎新「しまじまの黄昏」(2011年)の展示

写真:伊藤隆介「そんなことは無かった」(2012年)などの展示拡大伊藤隆介「そんなことは無かった」(2012年)などの展示

 青森県立美術館の地下迷宮のような展示室。そこでまず出あうのは、端正なモノクロ画面が描く森や海岸だ。英国のダレン・アーモンドが2006〜08年に月明かりだけで撮った写真は、長い露光の「時間」をはらみ、例えば波が霧のようになり幻想の度を高めている。

 その中に、岩手・宮古や福井・美浜の風景がある。あの巨大な波に襲われた場所と、原発銀座として注目を集める場所と。過酷なまでの時の流れが、風景の意味を変えてしまった。

 情報化により世界が結ばれる状況を指すらしい「超群島」という名の展覧会は今春、今回と同じく飯田高誉(たかよ)・同館美術統括監と建築家の藤村龍至(りゅうじ)の企画で東京で開催。震災後を踏まえた美術家や建築家の表現を集めたものだが、それを単に青森に移しただけでなく、新たな作品と何より同館の所蔵品を加えたことで、「時間」の幅が加わり、説得力がぐっと増している。

 福島第一原発周辺の住民が暮らすための新都市を提案する藤村の模型は、シベリア抑留を経験した阿部合成の1966年の絵画と同室。「声なき人々の群れ」なる題を持つ絵画により、普遍化される。磯崎新「しまじまの黄昏(たそがれ)」は、国会議事堂を第一原発の前に浮かべよ、という映像だが、今井俊満の絵画群「ヒロシマ」と向き合いひりひりとした空気を放つ。

 注目は伊藤隆介の新作「そんなことは無かった」だろう。小さな模型の中を小型カメラが動くと、大画面には、お菓子の箱を突き抜けた先に爆発した原発が現れるのだ。お菓子という日常の隣にいた原発、本当に模型のように簡単に吹き飛んでしまった建屋。

 その手前には終末感漂う工藤哲巳の70年代の立体と、三内丸山遺跡から出た土器片の数々がある。縄文の頃から文明とやらを積み重ね、ヒロシマや第五福竜丸で核の怖さも知ったのに、こんな事態を招いてしまった。

 3・11後、多くの視覚表現が生まれた。そうした素早い動きを、見る側もつい反射神経だけでとらえていたのではないか――。多層的な時間をはらむ展示に、そう自省することになる。

 縄文文化を育んだ東北・青森には、原発も再処理工場も、米軍基地もある。労働力の供給源として高度成長も支えてきた。戦後日本を凝縮したような地で、この展覧会は開かれているのだ。(編集委員・大西若人)

 ▽8日まで、青森県立美術館。

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