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子規おりおり

鼻つけて牛の嗅ぎ居る木芽哉

(02/21 愛媛版掲載)

 鼻つけて牛の嗅(か)ぎ居る木芽哉 1895(明治28)年

 「鼻つけて」というから、ああ私のこの「鼻」かと思えば、「牛」だといい、さらにその「鼻」が何かを「嗅」いでいると分かった瞬間、季語「木芽」が出現する。読者である私たちは切字「哉」の余韻を楽しみつつ、「木芽」の柔らかなさみどりを瑞々(みずみず)しく想像するのだ。

 作者の眼球に映った映像が俳句という言葉に翻訳され、読者はそれを映像として再生しありありと追体験する。それが俳句という文芸の「読み」の醍醐味(だいごみ)だ。

プロフィール

夏井 いつき(なつい・いつき)
1957年、愛媛県愛南町生まれ。俳句集団「いつき組」組長、元中学校国語教諭。「第8回俳壇賞」「第5回中新田俳句大賞」受賞。学校などで行う俳句のイベント「句会ライブ」、「俳句甲子園 全国高校俳句選手権大会」の運営に携わるなど、全国的に幅広く活動中。

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