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子規おりおり

虫売の月なき方へ帰りけり

(10/03 愛媛版掲載)

 虫売の月なき方へ帰りけり 1892(明治25)年

 かつての「虫売」たちは、縁日の境内や街道で、鈴虫・松虫など美しい音色で鳴く虫を売っていた。売り切れたのか売れ残ったのか、そっと店を畳み「月なき方」へ戻っていく「虫売」の姿は、深い影として読み手の心に畳まれる。

 現代でも「虫」を売る商売はあるが、人気の中心は甲虫・髪切り虫など夏の昆虫らしい。インターネットで注文できる蟋蟀(こおろぎ)を見つけはしたが、「各種ペットのための餌用」との売り言葉にゲンナリ。

プロフィール

夏井 いつき(なつい・いつき)
1957年、愛媛県愛南町生まれ。俳句集団「いつき組」組長、元中学校国語教諭。「第8回俳壇賞」「第5回中新田俳句大賞」受賞。学校などで行う俳句のイベント「句会ライブ」、「俳句甲子園 全国高校俳句選手権大会」の運営に携わるなど、全国的に幅広く活動中。

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