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前進座らしく「俊寛」 反権力・若者への希望

2007年10月12日16時12分

 近松門左衛門の「俊寛―鬼界ケ島の場」を、劇団前進座が17日から東京・吉祥寺の前進座劇場で上演する。同劇場の開場25周年記念公演。「俊寛」は都内の2劇場でかかっており、図らずも競演にさおをさす形だ。前進座版は「反権力」「若者への希望」というテーマをえぐり出す。俊寛役の中村梅之助は「人生の悲喜劇が凝縮する作品」と語る。

 1719年初演の人形浄瑠璃「平家女護島」(全五段)がもとになっている。平清盛に踏みにじられた女たちの怨恨(えんこん)歌が基調に流れる。「俊寛」は二段目を歌舞伎化した受難劇だ。前進座初演は51年。梅之助の父・中村翫右衛門の当たり役だった。梅之助は87年以来115回演じている。

 鹿ケ谷の陰謀に連座した俊寛らは、鬼界ケ島に流される。ある時、島に大赦の報が届く。しかし、俊寛の名はない。

 そこへ、平重盛の情けで帰参がかなうと再度の知らせ。だが、流人の少将と恋仲になった海女千鳥の乗船は拒まれる。妻の死を知った俊寛は希望を失い、自分の代わりに千鳥を船に乗せて、ひとり島に残る。

 梅之助は俊寛について言う。「一貫して清盛への闘争心と深い情愛に満ちている。ささいなことに生死をかけて一喜一憂。息もつかせぬ芝居です」

 俊寛を演じる時、必ず幕開き15分前から舞台上で待つのだという。「まだ大道具さんが行き来する物音。徐々に人がいなくなると、すーっと静寂。『俊寛もこんな気持ちを感じたのか』などと思っているところで幕が開く」

 「俊寛」は人気作とあって現在、国立劇場(松本幸四郎)と新橋演舞場(中村勘三郎)でも上演中。だが幕切れの演出は、前進座ならではのものだ。岩頭にほうほうの体でたどりついた俊寛は、船が点になるまで目で追う。放心。募る寂寥(せきりょう)感。ところが、表情には笑いが兆す。

 「自爆テロ的な自己犠牲ではないのです。最愛の妻を失った絶望を乗り越え、若い夫婦に希望を託す」。恩情になびかず、清盛への激憤を全うすることにもなるという。

 今月、梅之助の長男・梅雀が前進座を退団した。

 「うちは世襲制度ではないし、やめるやめないは自由。今後も梅雀を助けたり共演したりしていくつもりです」

 こちらの船出にも、希望を託す心底か。

 31日まで。11月5、6日には東京・浅草公会堂で。ほかに「人情一夕噺―子はかすがい」。ほかの出演は嵐圭史、河原崎國太郎、藤川矢之輔ら。前進座東京営業所(0422・49・2811)。

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