現在位置:asahi.com>文化・芸能>芸能>舞台>歌舞伎> 記事

〈第7回朝日舞台芸術賞 特別賞〉中村梅之助さん

2008年02月15日10時55分

 長い間、前進座の代名詞のような存在として、劇団を引っ張ってきた。俳優としても昨年、歌舞伎の俊寛役などで範を垂れた。「覚えて忘れろ」「役になれ、自分になれ」という後輩への教え通りの演技だった。

 「実はね、この年ですので、さほど目立ったこともできず、賞は意識にありませんでした」

 子供のころ、画家か彫刻家になりたかった。しかし、考えるひまもなくこの道を進み、責任が双肩にのしかかった。

 いろいろあった。

 昨秋には息子梅雀が退団。実は本人も60年代初め、劇団の旧体制に反発、退団を決意した。「梅雀の場合は親離れ子離れですよ。僕の時は先輩が2時間慰留。何よりお客さんの声が引き留めた」。滋賀のファンの言葉が忘れられない。「有名になっても偉くなっちゃいけないよ、とね。これが僕の座右の銘」

 伝統演劇を今日の目で洗い直し、観客と共に新たな劇として再創造する。この志は、今なおみずみずしい。「役者は、一生懸命歩いても、たどりつけない道のようなもの。舞台を終えると、常にもっといいやり方があったはずだ、と思う」

 心配していることがある。劇団の歌舞伎技術の弱体化だ。「11年の創立80周年に向け、もうひと気張りします」と語った。=終わり

    *

 なかむら・うめのすけ 30年生まれ。三代目中村翫右衛門の長男。39年、四代目梅之助で初舞台を踏み、45年に劇団前進座入り。テレビ「遠山の金さん」で全国的なスターに。同劇団2世代目のリーダーとして歌舞伎から現代劇まで幅広くこなす。

PR情報

このページのトップに戻る