現在位置:asahi.com>文化・芸能>芸能>舞台>歌舞伎> 記事 歌舞伎、石垣島で初公演 中村芝雀が「葛の葉」演じる2008年02月15日15時11分 本格的な歌舞伎が沖縄本島より南で上演されたことは、いまだかつてなかった、らしい。3月、国立劇場が手がける「芦屋道満大内鑑―葛の葉―」が東京、沖縄本島公演を経て、初めて石垣島に行く。別離の悲しみに悶(もだ)える母狐(ぎつね)・葛の葉を演じるのは、梨園(りえん)の理論派、中村芝雀だ。 国立劇場によると、国の「舞台芸術の魅力発見事業」に参加した結果、今回の上演が実現した。 葛の葉は、陰陽師安倍保名(中村種太郎)の妻。一子晴明をもうけたが、葛の葉は保名がかつて助けた白狐の化身だった。人獣婚姻は、その不可能性ゆえに暗鬱(あんうつ)たる結末を予兆させる。母子の別れの場面は、義太夫がララバイのように彩る。早替わり、曲書きなどのけれんも見どころだ。 「人は、たとえ別れを予感していても、別れずに済んでほしいという期待を抱く。いざ現実の別れを前にすると、やはり悲しみに暮れてしまう。母子の別れはひとしおでしょう」 葛の葉は、芝雀の父、雀右衛門がたびたび演じた。京屋にとって大切な役。「なぞってなぞってなぞっているうち、溶け込んで自分のものができる」「空でやってはいけない」「性根を心得なさい」。父の教えの数々を自らに言い聞かせている。 役の性根をどうつかむか。肝要なのは「思い」だという。役の思いを自分の現況に引きつけ、いわば「思いの因果関係」を分析。ある種の「歌舞伎プロファイラー」だろう。「一連の意識の流れに道筋をつけ、得心して、実のある演技をしないといけませんね」 最近「雀右衛門に似ている」と言われる機会が増えた。「そっくりと思う写真もあります。器用な方ではないのですが、いろいろなお役をさせていただくうちに、心も解放され、気持ちが前面に出るようになったのかもしれません」 沖縄はそんな芝雀の心をとらえて放さない。「沖縄音楽は派手なのにどこか短調で古風。組踊は色彩も奇麗で、動きの一つひとつに思いがこもる」。ここでも感心する対象は、思いの重み、だ。 東京・国立劇場=3月2〜11日▽沖縄本島・国立劇場おきなわ=同14〜17日▽石垣島・石垣市民会館大ホール=同20、21日。国立劇場(0570・07・9900)。 PR情報 |