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室戸台風で児童守った教師の浪曲を「復活」 大阪・吹田

2007年09月19日11時32分

 73年前の室戸台風で校舎の下敷きになりながら、児童5人を抱きかかえて救い、殉職した女性教師を題材にした浪曲「豊津小学校哀史 あゝ吉岡訓導」を、若手の女性浪曲師が「復活」させた。教師と生徒の信頼、自己犠牲、防災といった内容を現代に伝えたいと、取材も加えて戦前の題目を再構成。18日には舞台となった大阪府吹田市の小学校で、児童に披露された。

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児童の前で浪曲を披露する菊地まどかさん=18日、大阪府吹田市の豊津第一小学校で

 「『中に子どもがいるんです』」「止めるその手を振り切って 吉岡先生が校舎に戻るその途端 崩れ落ちる校舎……」

 吹田市立豊津第一小学校の体育館に、哀調を込めた歌とせりふが、三味線の音色に乗って響き渡る。4〜6年の約450人の児童が、真剣な表情で聴き入った。演じたのは菊地まどかさん(31)。03年に京山小圓嬢さんの門下に入り、文化庁芸術祭新人賞を受賞した若手の注目株だ。

 「あゝ吉岡訓導」は、室戸台風で児童ら53人が亡くなった豊津一小の前身、豊津尋常高等小学校教師の吉岡藤子さんの実話をもとに戦前に作られた。菊地さんは、師匠がけいこ中に演じるのを聴き、教師と児童の信頼関係や防災を題材にした内容は現代にも通じると感じた。師匠から継承を許されてから約1年かけて卒業生の話を聞いたり、文献を調べたりして被害の実情や吉岡先生の人となりを調べ上げ、現代風の言葉遣いで菊地さん版を今春に完成させた。

 口演を見た豊津一小の宮崎信夫校長(55)が「ぜひ子どもたちの前で」と依頼。約27分の演目を児童向けに約17分に縮め、同小での口演を実現させた。

 聴き終えた児童は「生徒のため頑張ったのに、かわいそう」「自分が先生だったら、できるかな」と感想を言い合った。宮崎校長は「児童がよく聞いていた。教師も我が身に置き換えて考えさせられ、いい機会になった」と話した。

 当時2年生で別校舎にいて助かった前野和賀子さん(80)も横浜市から駆けつけた。「今も台風が来ると吉岡先生を思い出す。若い方が取り上げてくれてうれしい」

 菊地さんは「命の大切さや災害の恐ろしさなど、考えさせられる内容なので、若い人たちにも聴いてもらえる機会を増やしていきたい」と顔をほころばせた。

 《「豊津小学校哀史 あゝ吉岡訓導」のあらすじ》 1934年9月21日、全国で死者・行方不明者約3千人(うち大阪府内で約1900人)の被害をもたらした室戸台風による強風で、大阪府豊津村(現同府吹田市)の豊津尋常高等小学校で木造校舎が倒壊。児童51人、教師2人が亡くなった。1年女子の担任の吉岡藤子さん(当時27、28とする資料もある)は倒壊に巻き込まれて死亡したが、吉岡さんの体の下に抱きかかえられていた女児5人が助かった。

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