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芸の奥深さといまも格闘 82歳竹本住大夫

2007年02月13日15時43分

 東京・三宅坂の国立劇場小劇場で開幕した文楽公演の第2部「摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)」で、竹本住大夫が山場となる「合邦庵室(あんじつ)」の切を語っている。82歳にして、この作品は29回目になる住大夫は「浄瑠璃がよく出来ていて、大好きな作品だけに、いまだに迷いがある」といい、芸の奥深さと格闘している。

写真竹本住大夫=東京都内で

 お家騒動の中、後妻の玉手御前が継子の俊徳丸に恋して拒まれ、難病を発する毒酒を飲ませ、実父・合邦の家に身を寄せた俊徳丸になおすがりつく――という乱行を重ねるが、実は裏の意図があったという筋立て。わざと恋に狂乱して合邦に刺され、苦しい息の下で本心を打ち明ける結末までを住大夫が語る。

 「合邦がやむなく娘の玉手を刺し、我が身を嘆く場で、お客さんが泣くと、こっちも感極まってくるんですが、語る側は泣いてはいけない。人物になりきる一歩前で、別の人物に転換する。腹と腰に力を入れ、息で変えてゆくんです」

 玉手御前が、俊徳丸を救うための大芝居だったと述懐するくだりは淡々と語り、次いで三味線の節が激しくなる。

 「みんなが真相を納得してから三味線の調子が上がるので、哀れさが出るんです。合邦も玉手も可哀想だと思う。人間の情を伝えないといけない作品だが、出そうと思って出せるものではない。若い時からけいこを積んで、怒られて、舞台で恥をかいて、年を重ねることでやっとわかってくる」

 玉手御前は俊徳丸を本当は好きだったのか、の解釈が分かれるところだ。

 「玉手が『好き』と語る時には、父親に本心と思わせながら、実は本心ではないという含みをもたせないといけない。玉手の色気の出し方が難しい。ただ、お家のためとはいえ、命をなげうって俊徳丸を救おうとするのだから、好きなところがあるのではないか、と思ってやっています」

 第1部は「奥州安達原」、第3部は「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)」。25日まで。5700〜1500円。学生割引あり。電話0570・07・9900(劇場チケットセンター)。

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