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落語のススメ 繁昌亭オープン 桂三枝・国分太一対談2006年09月14日 大阪で約80年ぶりとなる落語専門の寄席「天満天神繁昌(はんじょう)亭」が15日、本格オープンした。上方落語協会長として寄付金集めと建設の先頭に立った桂三枝さん(63)。伝統芸とは対極のアイドルグループ「TOKIO」メンバーでこのほど映画で落語家役を演じた国分太一さん(32)。世代や活躍するジャンルの異なる2人が、落語をテーマに語り合った。
国分太一 師匠とゆっくりお話するのは93〜94年にテレビ「クイズ! 年の差なんて」でご一緒して以来ですね。ぼくはCDデビュー前で10代でした。 桂三枝 懐かしいね。今度は落語家を演じたそうですが、どんな映画? 国分 「しゃべれども しゃべれども」という作品で、二つ目の今昔亭三つ葉役です。前座修業を終えたんですが、何が面白いかわからなくなっている。しゃべりが苦手な人たちに落語を教えているうちに、自分が落語の面白さに気付いていくという話です。 三枝 落語はどなたに? 国分 東京の柳家三三(さんざ)師匠に習いました。ぼくが一番弟子です。メーンで教えてもらった噺(はなし)は「火焔(かえん)太鼓」でした。 三枝 そりゃまた、すごい落語を。故古今亭志ん生師匠の十八番でね。中年になった夫婦の哀感がにじむ、難しい噺です。 国分 志ん生さんのDVDを見て、これをやるのかと思ったら怖くなりました。撮影前からどっぷり落語につかって日舞も習い、坊主頭にしました。落語家らしくおそばが食べられるように、左利きを右に直し、毎日コンビニでおそばを買って練習しました。 クライマックスの高座では、ぼくのしゃべりとお客さんの笑いでキャッチボールができ、これが間(ま)なんだと気付いて楽しかったです。師匠役の伊東四朗さんにほめられるシーンは、役の上なのにうれしかった。 三枝 寄席の高座はどうでした。 国分 新宿末広亭の舞台の座布団脇に溝があったんです。いろんな方が扇子でたたいて刻まれたと聞いて、ぼくなんかが簡単に落語をしていいものかとプレッシャーになりました。しゃべるだけで楽しませる芸の厳しさも感じました。 三枝 ぼく自身、落語が分かりかけたのは最近です。60歳になった時、桂米朝師匠から「落語家としてはこれからやな」と言われたんですよ。この先やることがあるなんてすばらしい人生だと思った。 国分 やはり経験ですか。 三枝 ええ。稽古(けいこ)をすると毎日発見があり、舞台がうまくいく。力を抜いて、噺の世界を転がせるようになるんですよ。 国分 なるほど。若い落語家には勢いを感じますが、ベテランの噺を聴くと間を楽しみながらやっていると思いました。 三枝 TOKIOにはジャニーズの中でも特別な個性を感じます。 国分 デビューしたころ、CDが売れなくて、6年たってから1位になれたんです。それまでは音楽以外のこともやらなくちゃと、バラエティー番組にも出て勉強したのが力になったのかな。売れなかった経験が財産になってます。 三枝 噺家でも自分の個性を出せるようになるまでが難しいですね。地味な世界で、テレビでも歌と違って、火焔太鼓を3分ではやれないでしょ? アイドルが演じてくれると、ほんとにありがたいですね。 国分 ドラマ「タイガー&ドラゴン」の長瀬智也君を始め、TOKIOは5人のうち4人が落語をしたことがあるんですよ。楽屋で小声で稽古することもありました。 三枝 落語の魅力はなんだと思いますか。 国分 地味ですが、一度入ると、するめのように味が出てきますね。火焔太鼓のように好きな噺をいろんな人で聴き比べる楽しさもあります。言葉の芸ですから、間合いや歌詞作りの勉強にもなりました。 三枝 笑いのパターンや声の出し方も役に立つはずですよ。それを生かして、TOKIOのライブでは落語コーナーを作ってください。 今度大阪にようやく「天満天神繁昌亭」という落語専門の寄席ができたんです。テレビでは笑福亭鶴瓶さんが活躍していますが、それに続く噺家がなかなか育たない。ピン芸(一人芸)ブームの中に、落語家がいませんからね。勉強の場として作ったんです。 国分 師匠が先頭になって建てたそうですね。伝統を守り後輩のために立ち上がるなんて、なかなかできないことだと思います。 三枝 いえいえ。早くからマスコミに出たことに落語家としての負い目がありました。見守ってくれた師匠たち、落語そのものに対する恩返しのつもりなんです。ところで、繁昌亭にゲストで出てみませんか。 国分 コンサートより緊張するでしょうね。 三枝 その人の魅力が落語では一番大事ですから、きっと大丈夫ですよ。 〈「TOKIO」メンバー・国分太一さん〉 こくぶん・たいち 74年、東京都生まれ。94年、ジャニーズ事務所のバンド「TOKIO」でデビュー(キーボード担当)。テレビドラマ「海猿」などに主演したほか、バラエティー番組でも活躍。来春公開予定の映画「しゃべれども しゃべれども」(平山秀幸監督)では主人公の若手落語家を演じる。 〈上方落語協会長・桂三枝さん〉 かつら・さんし 43年、大阪府生まれ。66年、5代目桂文枝に入門。創作落語のリーダー的存在で、現代の世相や風俗を写した作品を約180本作った。03年に上方落語協会長に選ばれ、落語定席実現に手腕を発揮した。バラエティー番組の司会でも長年活躍する。芸術祭大賞2回、芸術選奨文科相賞など受賞。 PR情報この記事の関連情報
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