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関西のSF・推理作家、新作落語を書き下ろし

2007年10月20日15時32分

 関西在住のSF・推理作家が書き下ろした新作を、落語家の月亭八天さんが演じる落語会「ハナシをノベル!!(ハナノベ)」が、大阪市北区の市中央公会堂で2〜3カ月に1回開かれている。定例会はこれまでに9回を数え、9月には大阪市の落語専門寄席・天満天神繁昌亭(はんじょうてい)への「出張」も果たした。聞けば、どうもSFやミステリーの作家には落語好きが多いらしい。何が両者を結びつけるのだろう。

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「ホラーをノベル!!」のトークで新作落語について語り合う、右から北野勇作、田中哲弥、月亭八天、田中啓文、牧野修、我孫子武丸の各氏=9月21日、大阪市の天満天神繁昌亭で

 9月に繁昌亭で開かれた落語会「八天がホラーをノベル!!」のトークでは、八天さんと「ハナノベ」の台本を手がけている作家の田中啓文さん、北野勇作さん、田中哲弥さん、牧野修さん、我孫子武丸さんが浴衣姿で並んだ。「会話主体の落語では、講談みたいな壮大なストーリーは無理。じわじわ聞かせなあかんところが難しい」と田中啓文さん。八天さんは「僕らが作る話は、落語のストライクゾーンの外角ぎりぎりでええんやないか」と応じた。

 この落語会が始まったのは、田中さんが落語家を主人公にした連作ミステリー「笑酔亭梅寿謎解噺(しょうすいていばいじゅなぞときばなし)」の監修を、八天さんに頼んだのがきっかけ。これまで古典落語一本でやってきた八天さんが「芸の幅を広げたい」と田中さんに新作落語を依頼し、子どものころから落語ファンだった田中さんも快諾した。

 その後、2人を知る雑誌「大阪人」編集者の水嶋真弓さんが「いっそ、小説家が書いた落語を定期的に発表する会を始めたら」と提案し、プロデュースを買って出た。田中さんが親しい作家に声をかけ、大学時代に落語研究会に入っていた北野勇作さん、コントの台本作家だった田中哲弥さんらが次々と参加した。

 田中啓文さんは「落語は関西のSF作家にとっての基礎教養」という。SF界の大御所、小松左京さんと落語の人間国宝、桂米朝さんの40年以上にわたる交友は有名だ。その後の世代でも、堀晃さん、かんべむさしさんら、関西で活躍する作家が新作落語を手がけたり、作品に落語家を登場させたりしてきた。縁が深いのである。

 「SF作家に関西在住者が多いのは、大ぼら吹き、奇想、お笑い好き、といった関西人の資質がSFにぴったり合っているから。これは落語にも通じる」と田中さんは説明する。

 一方、推理作家にも落語を題材にした作品は多い。田中さんの「梅寿」のほか、北村薫さんの「円紫師匠」、大倉崇裕さんの「『季刊落語』編集部」などのシリーズが有名だ。「ハナノベ」に参加している我孫子武丸さんも、落語をモチーフにしたホラーの連作短編を発表している。

 大阪在住の推理作家、有栖川有栖さんは「名探偵による推理は、時に論理的というより、機知や『とんち』に近いことがある。ほかにも、豊かな『常識』を持つ者だけが楽しめる点、都市的なセンスが生んだ物語である点など、落語とミステリーに共通点は多い」と指摘する。自分自身も「ハナノベ」で発表する新作落語を構想中だ。

 作家らの台本には、とっぴ過ぎてそのままでは落語にならないものもあるという。「でも、直しすぎると当たり前の落語になってしまう。『そんなムチャな』という部分は生かして、小説家の作品ならではの味を出していきたい」と八天さん。ほらと奇想が結びつけた落語とSF・ミステリーが、どんな化学反応を生むか楽しみだ。

 「ハナシをノベル!!」の新作落語9本を収めた単行本(税込み2000円)も11月、講談社からCDつきで発売予定。

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