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SP落語、CD全集に復刻 コレクター2人が音源提供

2006年11月17日

 明治から戦前にかけての落語の録音を復刻したCD全集がこのほど発売された。元になったのは収集家2人のSP盤コレクション。収集家同士は不仲で、コレクションも秘蔵されることが多いなどといわれるが、2人は情報を共有して貴重な古い落語の集大成を目指した。

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「昭和戦前面白落語全集」

 音源を提供したのは落語家の都家歌六さん(76)と出版社員だった岡田則夫さん(60)。落語SP収集の世界では、この2人が1、2で3、4がいないといわれるコレクターだ。

 歌六さんは名古屋市のレコード店に生まれ、小学生だった昭和10年代から中古レコード店歩きを始めた。落語家になっても、「けいこよりSP集めにうつつを抜かし、若い噺家(はなしか)仲間からは冷たい目で見られた」が、昔の落語を知る師匠たちからは励まされた。

 「コレクションにはタイミングがある」と歌六さん。日本では昭和30年代末からLPが普及しSPがどっと古物市場に出た。「タイミングは良かったが、金のない頃。大量に買ったために家賃が払えず、苦労しました」。新内のSP収集家から落語の希少盤をまとめて譲られたこともある。

 岡田さんは、高校時代から本格的な収集を始めた。SPが大量に出回る時期には間に合わなかったが、都内の古物商を自転車で回り、ほこりまみれのレコードをあさった。

 岡田さんが大学時代に寄席の楽屋に歌六さんを訪ねて2人の親交が始まった。

 「歌六師匠はもう大権威で、私は生徒。この分野を集めていたのは当時2人だけで、けんかするわけにいかなかった」と岡田さん。

 落語のSPは2人合わせて約4000枚。これは日本で出た落語SPの約8割にあたるという。「資料として貴重なだけではなく、聴いてみると実に面白い。CDにできないか」との思いが今回の全集につながった。

 4000枚の中から全集に収めたのは計242演目。レコーディングエンジニアの草柳俊一さんと評論家の保田武宏さんも加わり、音質だけでなく、「今聴いても面白いもの」を基準に選び、4年がかりでデジタル化した。

 こうして完成した「昭和戦前面白落語全集」は東京篇16枚、上方篇8枚。1903年(明治36年)に快楽亭ブラックが吹き込んだ最古の落語音源「滑稽咄(こっけいばなし)蕎麦屋の笑」から、林家三平の父で「どうもすみませんです」で笑わせた七代目正蔵、上方の爆笑王初代桂春団治、古今亭志ん生や八代目桂文楽ら名人たちの若い頃の録音までが収められている。

 草柳さんは「LPやテープにもなっていなかった音源が多い。演芸が一番盛んだった頃の録音で、非常に貴重な復刻だ」という。歌六さんは「我々にできるのはここまで。食うものも食わずに集めたSPをきちんと後世に残す仕事は国かしかるべき機関にお願いしたい」と話している。

 定価は東京篇2万5200円、上方篇1万2600円。問い合わせは日本音声保存(03・5561・9008)へ。

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