現在位置:asahi.com>文化・芸能>芸能>舞台>落語> 記事 不惑超え真打ちの年 立川笑志と春風亭栄助に聞く2008年01月04日15時36分 不惑を超えた2人の落語家が、いつもと違うあらたまの春を迎えている。真打ちに4月昇進する立川笑志と、9月に昇進する春風亭栄助。若さや勢いに任せない、安定した力を高座で見せる。
■笑志44歳 売れても前座9年 笑志は44歳。遅咲きどころか、高く評価されてきた。88年に立川談志に入門。にっかん飛切落語会の優秀賞など数々の賞を受け、テレビやラジオのレギュラー番組を持ち、若手で指折りの売れっ子だった。 ところが、落語立川流は落語の他に歌舞音曲の試験もあり、家元の談志が認めないと昇進できない。前座を9年近く務め、真打ちは後輩に先を越された。悔しくもあったが、「師匠を選んだのは自分だから」と割り切った。 高座では愛敬たっぷりの明るいしゃべり。客の心理を先読みしたマクラを、小刻みに繰り出す。古典落語に正面から取り組み、現代的なくすぐりも織り交ぜる。談志も「落語は文句ねえ」と太鼓判を押す。 小学校6年から落語を人前でやっていた笑志も、プロになるにはためらいがあり、福岡大卒業後は会社勤めをした。すると、「世の中は結構いい加減だった。なら、好きなことをやって生きた方がいいや」と思い立った。 ■栄助45歳 30歳過ぎ弟子入り 45歳の栄助は、子供の頃から落語家を志した。高校卒業後に静岡から上京したが、友人と旅した米国に居残り、永住権まで取得してしまう。30歳を過ぎ、ビデオで見た日本のテレビ番組に、同世代の落語家が出ていることに気付く。あわてて帰国し、春風亭栄枝の弟子に。95年のことだ。「年下の先輩に気を使わせてはいけない」と、言うことを素直に聞く前座に徹したという。 おかっぱ頭で一見オタク風。米国人親子が日本の昔話を語り合う「桃太郎DV」、息子の交際を巡って母と女が言い争う「マザコン調べ」など、古典をパロディー化して、落語ファンもビギナーも取り込む。M―1グランプリや、一人芸人対象のR―1で、予選にも出場。落語が、漫才やコントに負けない自信があるからだ。新作を始めたのは、二つ目になってから、古典が思うように受けなくなったためという。「でも、本当は、大好きな古典で笑わせたい」 近年、二世、三世落語家が若くして真打ちになり、父や祖父の名跡を襲う例が目立つ。これを談志は「落語家にとって、売れる売れないは付属したもの」と話す。弟子に歌舞音曲も一通りできる「落語家の雰囲気」を身に着けるよう求める。ために、笑志が売れても安易に真打ちを認めなかった。「時代には合わないかも知れないけどね」 実は2人とも、真打ちを機に「改名」する。生志となる笑志は「芸名に志ん生と談志が入っている」、百栄(ももえ)となる栄助は「同郷のピンク・レディーがライバル。大きな芸名を継ぐと、R―1とかには出にくくなるかも」と、屈託がない。 昭和の名人、古今亭志ん生や三遊亭円生だって、50代を過ぎて芸を評価された。長い落語家人生、真打ちは始まりに過ぎない。 PR情報文化・芸能
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