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蜷川幸雄、「タイタス・アンドロニカス」再演 21日から

2006年04月20日

 シェークスピアの初期戯曲「タイタス・アンドロニカス」に演出家、蜷川幸雄が再び取り組んでいる。壮絶な復讐(ふくしゅう)の連鎖を描きながら、その果てに希望の灯をともした04年初演の舞台を、さらに深く作り直している。21日から国内4都市で公演した後、英国に招かれている。

◇現代世界の残酷さ 投影

 ローマの将軍タイタスと戦争に敗れたゴートの女王タモーラ。この2人の家族の間で復讐のための凄惨(せいさん)な殺し合いが展開する。

 蜷川は、シェークスピア劇の中でも最も残酷とされるこの作品に、戦争と流血の絶えない現代の世界を投影した。一方視覚的には、真っ白な装置や血を赤い糸で表現するなど、美しさを強調した。「そうした初演のコンセプトは変えないが、演技の要求を上げている」と言う。

 初演に続きタイタス役の吉田鋼太郎は「演じるほどにタイタス個人の物語ではなく、人間にとって普遍的な主題だと感じる。だからこそ、タイタスの感情をきっちり表現せねば」と語る。同じくタモーラを演じる麻実れいは「終幕の表情などで、よりしっかり筋の通った母性を見せたい」。

 タモーラの愛人で陰謀をめぐらすエアロンは初登場の小栗旬。「怒りのエネルギーが腹の深い所にある表現ができればと思っています」。もともと色白だが、日焼けしてムーア人らしい褐色の肌にした。「マネジャーは次の仕事を心配しているみたいですが、先のことのために今のテンションを下げるなんて考えたくない」と言い切る。

 出演は真中瞳、鶴見辰吾ら初演メンバーに、壤晴彦らが加わる。松岡和子訳。

 公演は21日〜5月7日=さいたま市・彩の国さいたま芸術劇場▽13、14日=富山市・オーバード・ホール▽19〜21日、大阪・シアター・ドラマシティ▽6月3、4日=新潟市・りゅーとぴあ。電話03・3490・4949(ホリプロ)。

◇6月には英国公演も 「中身、わしづかみに」

 「タイタス・アンドロニカス」は、英国ロイヤル・シェークスピア劇団(RSC)主催の「シェークスピア・コンプリート・ワークス」に招かれている。シェークスピアの生地でRSCの本拠地でもあるストラトフォード・アポン・エイボンで、今年4月から1年がかりで、シェークスピア戯曲37本とソネットや詩をすべて上演する壮大な企画だ。

 プログラムには、RSC作品に加え、ドイツの巨匠ペーター・シュタインが演出する「トロイラスとクレシダ」などが並ぶ。「タイタス」は6月16〜24日公演。29日〜7月1日にプリマスでも上演する。

 蜷川は「外国では日本的様式を出した方が受け入れられやすいのはわかっているが、意地を張って拒否する。英国の多くのシェークスピア劇は分析や解釈を重視しているが、本来シェークスピアはもっと荒々しいはずだ。アジア演劇の特色でもある、小さな心理主義など吹き飛ばす大胆さで、中身をわしづかみにした舞台を見せたい」と語る。

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