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「喜劇の殿さん」小幡欣治に聞く 目標は私なりの現代劇

2006年12月04日

 劇作家、小幡欣治の新作「喜劇の殿さん」を劇団民芸が6〜21日、東京・日本橋の三越劇場で上演する。喜劇俳優・古川ロッパ(1903〜61)の戦中戦後を描き、大滝秀治が主演する。東京・新橋演舞場で脚本・演出の「三婆」(有吉佐和子原作)も上演されている小幡に、話を聞いた。

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小幡欣治=東京都内で

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「三婆」を語る水谷八重子=東京都内で

 小幡は長年、商業演劇で活躍してきたが、近年は民芸への書き下ろしが多く、これで6本目になる。

 「商業演劇は俳優中心だから、何人もの看板俳優が映えるよう書かねばならないし、素材やテーマにも制約がある。その点、民芸は比較的自由で書きやすい」と言う。

 しかし「新劇と商業演劇を分けて考えてはいない」とも話す。「目指しているのは、私なりの現代劇、お客さんに喜んでもらい、共鳴してもらえる舞台です。かつて、大衆性のある新派でもなく、テーマ主義の新劇でもない『中間演劇』が提唱されましたが、強いて言えば、私の作品はそれかなと思います」

 「喜劇の殿さん」では事実に基づきながら、ロッパの軌跡をつづる。絶大な人気を博した昭和10年代に陸軍の命令で実施した中国人捕虜との合同公演、戦後、幻に終わったハリウッド映画への出演、そして弱った体で出た最後の舞台……。

 「捕虜を芝居に出したのは軍の命令だから、ロッパとしては降りかかった災難みたいなものだったでしょう。でも、そのことを彼は戦後どう考えていたのだろう。自分の責任について、無自覚だったのではないか。そうしたロッパに、戦後の日本人の姿が重なるようにも思えます」

 演出は丹野郁弓。奈良岡朋子、樫山文枝らが出演。6300円。電話03・3274・8673(劇場)。

◆「芝居にリアリティー」 「三婆」出演の水谷八重子

 「三婆」公演では、水谷八重子が妾(めかけ)の役を演じている。

 舞台は、昭和30年代の東京。金融業を営む男が亡くなり、借財だけが残った。行き場を失った妾と、男の妹は、本妻の家に強引に転がり込む。3人の「婆」が角突き合わせる波乱の共同生活をユーモラスに描く。

 水谷は「老いを描きながら重くなく、なんて婆たちだろう、と笑えるのがこの作品の魅力」と語る。昨年、京都・南座で初めて演じた役だ。「昨年は、人を煙(けむ)に巻きながら生きてゆくバイタリティーあふれる役作りをしたが、今回は、女独りで生きるためのずうずうしさと裏腹にあるかわいさも出したい」

 初演は1973年。老いをめぐる状況も変わった。

 「核家族になって、孤独な老人が増えゆく時代を痛烈に皮肉っている。まさに今日、リアリティーを持つ芝居ですね」

 共演は、波乃久里子、園佳也子、笹野高史ほか。20日まで。1万3650〜2520円。電話03・5565・6000(チケットホン松竹)。

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