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〈第6回朝日舞台芸術賞 秋元松代賞〉角野卓造さん

2007年02月01日17時52分

 説得力ある演技で、重い主題も、人間の美しさも愚かしさも、確かに観客に手渡す現代の名優。親しみやすさも魅力で、舞台にテレビに大忙しだ。

写真角野卓造さん

 「海外の名作より日本の創作劇が好き」で、新作に積極的に出演してきたが、「06年は特別だった」と振り返る。「日本を代表する井上ひさしさん、気鋭の中島淳彦さん、今や知らぬ者のない三谷幸喜さん、この3人の書き下ろしに、次々出たのですからね」

 井上作「夢の痂(かさぶた)」で演じたのは元大本営参謀、戦後は古美術商手伝いの男。東北の旧家で天皇巡幸の接待法を指南し、練習で「天皇役」を務める。

 「陛下を演じるとは思いませんでした。それで戦争責任について語るわけですから。ふだんとは違う緊張感がありました」

 東京ヴォードヴィルショーに客演した三谷作「エキストラ」ではドラマのエキストラをしている元教師役。「ライトコメディーを想像していたら、喜劇でもシリアスなのでびっくり。三谷さんも変わろうとしているのかな」と感じた。

 所属する文学座では中島作「ゆれる車の音」。同年配の俳優たちが大活躍する〈おじさん喜劇〉で、客席を沸かせた。「多くの方に楽しんでもらえ、全国を回れる芝居が作れたのがうれしい。かつては杉村春子さんが旅公演で劇団を経済的に安定させ、若い僕らはアトリエでいろいろな実験が出来た。今は僕らが支える番。井上さんの芝居の言葉を借りれば、ご恩返しではなく『ご恩送り』です」

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 〈かどの・たくぞう〉 48年生まれ。70年文学座研究所に入り、74年初舞台。主な舞台に「円生と志ん生」「バッド・ニュース☆グッド・タイミング」「缶詰」など。テレビドラマ「渡る世間は鬼ばかり」でもおなじみ。

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●受賞あいさつ(ビデオメッセージ)から

 何よりも、素晴らしい仲間たちと一緒に仕事ができたから、この賞をいただけたのだと思っています。限られた時間の中でみんな苦労して、そのことが結束を強くしました。(旅公演で来ている)呉には父が眠っています。役者になることを誰よりも心配した父に、この賞を捧げたい。

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