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あやしく楽しく輝く「王」 北村一輝

2007年03月09日15時54分

 「姫におかれましてはご機嫌よくあられ、天気もよくて何よりです」

写真北村一輝さん=谷古宇正彦氏撮影

 鼻にかかった声が色気までも含み、けいこ場に響く。麗しき王の風格と思いきや、あるいたずらを姫に見抜かれて「ア――ッ!!」。素っ頓狂な叫び声に早変わりだ。

◆主演の舞台「恋の骨折り損」、16日から

 彩の国シェイクスピア・シリーズ第17弾、「恋の骨折り損」でファーディナンド王を演じる。「3年、女に近づかず」という誓いを立てた王と臣下が、フランス王女と侍女に恋してしまうという喜劇。演出の蜷川幸雄とは初顔合わせになる。

 「蜷川さんからお話をいただき、僕のことを知ってるんですか? と驚いた。一ファンとして拝見してきた舞台は、どれもお客さんを楽しませようというプロ意識がみなぎるエンターテインメント。僕に務まるかな、と不安でしたが、飛び込んでみた蜷川王国は、制約のない楽しい国だった。自分のすべてを出し、何でも吸収したい」

 この舞台は、同じシリーズの「お気に召すまま」「間違いの喜劇」に続き、男性俳優だけで演じる。王女役は姜暢雄だ。

 「男子校育ちなので男だけでワイワイ、というのはやりやすい。でも、けいこが夕方になると、わが姫にうっすらとヒゲが、なんてことも……」

 主演した映画「龍が如く」も公開されている。大歓楽街で死闘を繰り広げる「伝説の極道」、桐生を演じる。三池崇史監督らしい破天荒なバイオレンスが爆発する。

 「三池さんと蜷川さんは似ている。紳士で常識があって、人の心を読み取るのも動かすのもうまい。えっ?! と絶句するような突拍子もないアイデアを出す。天才だな、と思います」

 99年の映画「皆月」で、凶暴さと純粋さを併せ持つチンピラ青年を演じ、注目を集めた。映画は「あずみ」「キル・ビル」「ゴジラ FINAL WARS」「戦国自衛隊1549」など、ドラマも「大奥」「夜王」「嫌われ松子の一生」「14才の母」、放映中の「わるいやつら」と出演が続く。

 あやしく、鋭く、危険で、エキセントリック。その視線とほほえみが強い印象を残す。

 「濃い顔ですから。でも、プライベートは本当に、いいひとなんです。スーパーとかで見かけたら声をかけて下さい。普通に話しちゃいますから」

 「いいひとだった」ことを書き忘れないでほしいと、最後に念を押された。

    ◇

 〈きたむら・かずき〉 69年生まれ。90年にテレビドラマでデビュー。「恋の骨折り損」は、さいたま市・彩の国さいたま芸術劇場(電話048・858・5511)で16〜31日。訳・松岡和子。9000〜5000円、学生席2000円。当日券のみ。大阪、名古屋、北九州各市でも公演。

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