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加藤剛父子 がっぷり共演

2007年06月12日15時33分

 加藤剛が67年に出演した時代劇映画「上意討ち―拝領妻始末―」(小林正樹監督)を、所属する俳優座が舞台化し、東京・日本橋の三越劇場で上演している。映画で三船敏郎が演じた父親役に加藤が回り、自らが演じた息子役を次男の頼(らい)三四郎が演じる。藩主の横暴に苦しむ武士一家の葛藤(かっとう)を描いたドラマで、加藤が長年舞台化の構想を温めてきた愛着のある作品だ。

写真「上意討ち」で共演する加藤剛(右)と次男の頼三四郎

◆映画版から40年「上意討ち」舞台化

 「当時、自前のスタジオまで持っていた三船プロが意気込んでつくった映画。久々に見直し、迫力ある熱い作品だとあらためて感じた。企画・演出家・劇場と条件がそろい、やっと上演できます」と、加藤は晴れやかな表情で語る。映画は滝口康彦原作で、シナリオは橋本忍が手がけた。

 舞台は会津松平藩。馬廻(うままわ)りの伊三郎(加藤)は藩主の側室いち(若井なおみ)を嫡男与五郎(頼)の妻に迎えるよう命じられる。2人が仲むつまじい夫婦になったころ、藩主の世継ぎが急死し、側室として男子をもうけていたいちを返上せよと藩に命じられる。

 68年に訪れたポーランドで、反体制運動に取り組む若者から「みごとな反抗の映画だ」とほめられたのが忘れられない。加藤は「純粋に生きようとした人が権力の理不尽に立ち向かう。その背後には、家族のささやかな暮らしを守りたいという願いがある。時代劇の枠組みを超えた普遍的な物語です」と力を込める。

 頼は父を追って俳優座に入り、今は準劇団員。舞台やテレビで共演してきたが親子役でがっぷり四つに組むのは初めてだ。「大学で教員免許を取ったが、両親も兄も役者という一家なので自然とこの道に。作品づくりに命をかける現場の先輩方から、日々厳しさを学んでいます」と頼はいう。

 今回は、自宅で父子が役を入れ替えてのけいこもした。息子に注ぐ加藤のまなざしは、演じる会津の一徹者の武士にも通じる。

 「役者という仕事は、努力が必ずしも報われるわけではない。息子に限らず、若い役者はひとりの人間として社会とどう向き合って生き、それを演じる役にどう投影させるかが大切。終わりのない道です」

 かたときも手元から離さない加藤の台本には、シャープペンシルで記した大量の書き込みがある。「思いついたアイデアをその都度書くのですが、これなら『出来ない』と思ったときに消せますからね」と、照れくさそうに笑った。

 23日まで。金子良次脚本・演出。神山寛、小笠原良知、美苗らが共演。6300円。俳優座(03・3470・2888)。

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