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別役実×文学座、共同上演 小林勝也・角野卓造に聞く

2007年06月13日15時26分

 文学座が創立70周年記念として、東京・信濃町の文学座アトリエで「別役実のいる宇宙」と題し、劇作家・別役実の新旧戯曲2作を交互に上演する。別役と文学座の共同作業は40年に及び、この新作が25本目。それらの多くに出演し、今回の新作にも参加する小林勝也と角野卓造に聞いた。

写真角野卓造(左)と小林勝也=東京・信濃町の文学座で

 新作「犬が西むきゃ尾は東」(藤原新平演出)では、ホームレスたちがゆるやかに死に向かってゆく。独立した作品だが、副題が「『にしむくさむらい』後日譚」で、77年初演の「にしむく〜」に登場した戸外をさすらう男女の数十年後のようにも見える。

 一方旧作は昭和初期の宗教集団がモチーフの「数字で書かれた物語―『死なう團』顛末記(てんまつき)」(74年初演)。この作品の成功が、別役が文学座にコンスタントに書き下ろす契機になった。小林も角野も「にしむく〜」「数字〜」の初演に出ている。

 角野は「劇団に入り、近代劇を10年くらい修業するのだろうと思っていたところ、アトリエでどんどん創作劇をやることになり、学生時代に好きだった別役さんたちの作品に次々出られて、驚きました。『別役実症候群』と称し、(せりふに頻出する)『あの、ええと』といった言葉を日常でも使って遊んでいました」と振り返る。

 小林は「あの頃劇団は、『シェイクスピア・フェスティバル』を終え、虚脱した空気があった。世の中も連合赤軍事件の後で、どこかポカンとしていた。そこに現れたのが別役作品。新しいものが生まれる期待があり、作家と演出家と僕らで、一緒に作っていくのが楽しかった」。

 登場人物に名前がなく、劇の背景なども語られない別役戯曲は一見、無機質。それを生活感のある演技に優れた文学座の俳優が演じることで劇世界が豊かに膨らむといわれる。

 しかし、角野は「僕らの感覚は逆。むしろ別役作品の中で、のりでご飯を食べるというようなことをやってゆく中で、あっ、これは演劇としてパンチのある表現なんだと気がついた」。小林も「僕も同じ。文学座では、お茶の入れ方、障子の開け閉め、座り方などを教わる。それが芝居を作る上で大事だというのを別役作品で実感しました」。

 小林から見た別役は「観念的ではなく、非常に生々しい作家。感情的に抽象画を描いているという感じ」という。「新作には年間3万人以上も自殺者がいる現実の不気味さが込められている。それを実感しながら、さりげなく演じたい」

 ◇15日〜7月5日。「犬が〜」には田村勝彦、沢田冬樹、吉野佳子、倉野章子も出演。「数字で〜」は高瀬久男演出で、中村彰男、大原康裕、浅地直樹らが出演。各4300円。文学座(03・3351・7265)。

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